バッティング練習といえば「素振り」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
高校球児が真夜中に自宅前で素振りしている姿は絵になりますよね。
ところで素振りについて素朴な疑問を抱いたことは無いでしょうか?
『果たして素振りってどれくらい効果あるの?』と。
実際、素振りよりも実践に近いボールを打つ練習をしたほうがバッティング技術を効率的に上げられそうにも思えます。
それでも昔から素振り文化は受け継がれていますから、何かしらの効果はあるに違いありません。
どうせ素振りをするなら、どんな効果が得られるのかを明確に分かって、効率的な素振りができたら良いですよね。
本記事では、効率的な素振りの練習方法について掘り下げていきたいと思います。
素振りで得られる効果
実は素振りは日本独特の練習方法であったことをご存知でしょうか?
メジャーでは素振りをメインにした練習方法はあまり浸透していません。
一説では、海外だとボールを使った練習ができる場所が多いので素振りをする必要がないとも言われています。
日本はボールを打てるような広い練習場は個人では用意できないですからね。
自ずと素振りで練習する文化が浸透するようになったのでしょう。
さて、日本の伝統文化でもある素振りですが、素振りで得られる効果・メリットについて解説していきます。
バット扱いの慣れ
バッティングには2つの慣れが必要と言われています。
『ボールへの慣れ』と『バットへの慣れ』です。
素振りは『バットへの慣れ』を身につけるのにとても有効です。
もっとカッコいい言い方をすると、素振りは、「体とバットとのコミュニケーション」をとることができるのです。
体にバットを慣らしていくことで、体の一部のように動かせるようになります。
自由自在にバットを振れるようになったら、バッティングが向上するのは想像するに容易いですよね。
スイングスピードUP
単純に素振りをすることでスイングスピードが上がってきます。
やはり強い打球を打つためには速いスイングが必須です。
ただ力を込めてスイングするだけではスイングスピードは速くならないということは、素振りによって肌で感じる事ができます。
力を入れるべきところと力を抜くべきところのタイミングを素振りによって体に染み込ませていくのです。
また、無駄な動作を削ることができるので、動作開始からインパクト時までを最短距離でバットを出す練習にもなります。
フォーム固め
バッティングにおいてフォームを固める事は非常に重要です。
素振りはフォームチェックするのに最適な練習方法と言えるでしょう。
鏡を使えば効果は倍増します。
理想のバッティングフォームと現状のバッティングフォームを近づけていくためには、ボールを打つ練習よりも素振りの方が効果的です。
フォームを固めてからボールを打つと、見違えるほどの打球になるので、その日を心待ちにしながら素振りに勤しむようにしてください。
マメができる正しい位置
素振りの勲章と言えば手のマメですよね。
マメがあるだけでたくさん練習した証拠にもなりますし、マメのある選手は上手そうに見えます。
しかし、メジャーで活躍したイチロー選手や松井秀喜選手は、「良いバッターは手にマメを作らない」と話していました。
なんでもマメができるということは余計な力が入っているからなのだとか。
確かに言われてみれば、握っている箇所に力が加わっているということはその分エネルギーをスイングスピードに換えられていないという事にもなりますよね。
実はホームランバッターには、握力が弱い選手が多いんです。
通算本塁打歴代2位の野村克也氏やミスタートリプルスリーの山田哲人選手も握力は一般人並しかありませんでした。
握力が弱いということはグリップに余計な力が加わりにくいので、スイングスピードが速くなるということなのかもしれませんね!
ただ、プロ野球選手であれ、全く手にマメを作らないというのは至難の業です。
マメができないのはベストですが、あらかたの正しいマメの位置は存在するのでしょうか?
実は、ここにマメができたら良いといった正しい位置は存在しません。
大事なのは毎回同じところにマメができるということです。
毎回同じところにマメができるということは、力が同じところに加わっていると捉えることができ、フォームが固まっている証拠にもなるからです。
もし毎回違う位置にマメができているようならば、フォーム固めを入念にしたほうがいいでしょう。
効率的な素振り練習方法
効率的な素振りをするためには、『回数を気にしすぎない』事が前提条件です。
この前提条件を満たした状態でこれから紹介する素振りを意識するようにしてください。
自分にあった回数をこなすようにしてください。
ただたくさんの回数をこなすよりも集中して1スイングを大事にしたほうがバッティングは上手くなります。
意識すべき事を意識できずに数をこなすだけの素振りは逆効果になりうるので注意しましょう。
ピッチャーをイメージする
素振りの目的は試合で打てるようになるためですよね。
打席に立ったらピッチャーが投げて来ます。
素振りの時から相手ピッチャーのイメージを膨らませて起きましょう。
右ピッチャーなのか、左ピッチャーなのか、どんなフォームをしているのか具体的なイメージを頭で描きながら1スイングを丁寧に振ってください。
ライバルにしているピッチャーがいたら、そのピッチャーをイメージしてもいいですね。
イメージトレーニングの効果は馬鹿にできないほど効果的なのでぜひ肌で感じてみてください。
ストライクゾーンを9分割
ストライクゾーンを9分割して、それぞれの打ち方を体に染み込ませるようにしましょう。
内角低めと外角高めの打ち方は全然違います。
ストライクゾーンに入ってきたボールは確実に弾き返せるようなスイングを身に付けてください。
苦手なコースがあってもボールに当てることさえできるようになれば勝ち目はぐんと上がります。
打球を意識
打った後の打球を想像しながら素振りをするようにしてください。
大きなフライを打ち上げたいのか、鋭い弾丸ライナーを打ちたいのか、目的によってフォームが変わってきます。
打球を意識するということは、自分の理想形をイメージするということなので、成長も早くなります。
また、素振りの時から打球を意識しておくと、ケースバイケースにおいた器用なバッティングもできるようになるので、必要な意識ですね!
最低限、外野フライを打たなくてはいけないという時もあるので、ゴロを打つ打ち方だけでなくまんべんなくできるようにしておいたほうが得策でしょう。
正しいフォーム
正しいフォームを意識して素振りをしましょう。
正しいフォームとは、無駄な力が入らず、スイングスピードを上げるフォームのことです。
素振りの時にフォームを固めておけば、体が勝手に動きを記憶してくれるので、ボールに集中した時でも正しいフォームでスイングすることができます。
何も考えずに理想のフォームでスイングできるようになるまで意識した素振りが必要になってきますね。
課題に応じて素振りの仕方を変える
バッティングは人によって改善すべき点が異なります。
課題点を解消するために有効な素振りの仕方を紹介していきます。
一般的な素振り
試合を想定しながら素振りをします。上記で説明した事などを意識することが重要。
高速素振り
30秒など時間を決め、できるだけ高速でバットを振る方法です。
注意点としては、スイングが終わったらトップの位置までしっかりとバットを戻することです。
ドアスイングの矯正と瞬発力アップが期待できるので、体の開きを直したい人やスイングスピードを上げたい人にオススメの練習法ですね。
歩行スイング
歩きながらバットを振る練習法で右打者の場合、左足→右足→左足→スイングという順番で行います。
スイング直前、軸足に体重を乗せてタメを意識するようにしましょう!
体重移動の感覚を養うことができるので、手打ちになっている人や下半身の使い方の向上につながります。
大股スイング
脚をできるだけ広げて素振りをします。
軸足から前足へ重心を移動する感覚を掴めるので、下半身の使い方が上手くなります。
腕だけの力でスイングしている選手はこの練習法で下半身の役割を確認することができるようになります。
バランスボールスイング
バランスボールに乗った状態でスイングすることで、バッティング時の体幹の使い方を身につけることができます。
体の軸を安定させることができて、バッティングに安定感が出るようになります。
ミート力向上にも効果ありですね。
まとめ
- 素振りで得られる効果として、スイングスピードアップやフォーム固めなどあがある
- 一流選手は素振りでマメができない。初めはマメは同じ位置に作ること
- 素振りは回数ではなく、意識次第で効率的に練習できる