野球のバント【コツとやり方】構え方や握り方と練習方法もご紹介!

バントは特に日本の野球では多用される戦術ですよね。

ただ、近年ではバントが逆に得点効率を下げるなど、「バント不要論」のような説も出てきました。

バントは練習する必要が無いのでしょうか?

野球の試合の中では、サヨナラのチャンスなどとにかく1点だけ取れればOKという場面がやってきます。

そんなときには、バントが出来る選手が重宝されるのです。

多用はしなくても、バントは出来た方が良い。

来るべきときにしっかり決められるためにも、バントのコツや上手くなる練習方法を紹介していきます。

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バントの3つの構え方

バントをするときには、通常のバッティングフォームとは少し違った形で構える選手も多いです。

主にバントの構え方は3種類あります。

  • オープンスタンス
  • クローズドスタンス
  • スクエアスタンス

それぞれ詳しく解説していきます。

オープンスタンス

オープンスタンスは、ピッチャー方向にある足を外に開いて、身体をマウンドに正対させるバントの構え方です。

この動画は甲子園でも屈指の名場面である、金足農業のサヨナラツーランスクイズの場面です。

このときのスクイズの構えが、オープンスタンスになります。

オープンスタンスのメリットは、身体を正面に向けるのでボールを両目でしっかり見られることです。

とにかく自分は生きなくてもいいので、絶対にゴロを転がしたいときには適しています。

オープンスタンスのデメリットとしては、インコースの身体近くに投球されたときに対応しにくいことです。

避けるのが難しいので、確実にバットに当てないといけません。

低めのコースに投げられるとバットと目線が遠くなりやすい構え方でもあるので、バントの構え方の中では採用している選手が少ない傾向があります。

クローズドスタンス

軸足を身体の後ろに引いて、前の膝を軽く曲げた形で行うバントです。

送りバントやスクイズ、右打者のセーフティバントで使われやすいバントの構え方ですね。

クローズドスタンスのメリットとしては、身体の角度や高低差に対応しやすいという点です。

バッティングの際に踏み込む方の膝で高さ調節ができ、バットと目線も離れにくいのが特徴でもあります。

ただ、左バッターがクローズドスタンスでバントを行うと、1塁に走り出すのが遅くなるので注意が必要です。

左バッターがセーフティバントを行う場合は、オープンスタンス気味の構え方が良いでしょう。

スクエアスタンス

両足を、ホームベースに対してほぼ平行に置いた構え方がスクエアスタンスです。

メリットとしては、ヒッティングの構え方と近い形なので、打った後にすぐ走り出しやすいという点です。

また、通常のバッティングフォームから、ギリギリのタイミングでバントの構えに切り替えることも出来ます。

それによって守備陣の前方へのチャージを遅らせることも出来るのです。

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バントの5つのコツ

バントのコツを大きく5つに分けて説明していきます。

  • 手だけではなく膝を使う
  • バットと目線を近づける
  • 最初からしっかり構えない
  • 当たる瞬間だけ力を入れる
  • 転がす方向を決めておく

手だけではなく膝を使う

バントのコツで最も重要ともいえるのが、膝の柔軟性です。

バントをするときには、高めのコースが来るか低めのコースが来るかはわかりません。

どちらでも対応できるようにするには、膝の曲げ伸ばしでバットの高さを変えます。

腕だけを動かしてバットを合わせようとすると、目線からボールが遠くなって確実性が落ちるのです。

バットと目線を近くする

コツとしては、目線の中にバットと投手を両方入れられるような位置で構えることです。

バントをするときには、ヒッティングのときよりも確実性が求められます。

バントでのファールは、ツーストライクの場合三振になってしまいますからね。

追い込まれるとバントはしにくいので、その前にきっちり決めておきたいところです。

最初から構えない

バントのコツとして大切なのが、リラックスしていることです。

余計な緊張があると、高低や内角外角のコースに対応できません。

最初からしっかりバントの構えを作っておくのではなく、ある程度リラックスした状態で投球を待ちましょう。

ピッチャーがモーションに入ってからバントの構えをしっかり作るのでも遅くはないので、自分がやりやすいタイミングを見つけておくべきです。

当たる瞬間だけ力を入れる

ガチガチになっているとバントは失敗しやすいので、できるだけ力を入れる時間を短くした方が良いです。

できればバットがボールに当たるタイミングだけ力を入れるようにして、基本的には終始リラックスしていた方がバントは上手くいきやすいでしょう。

どう考えても送りバントの可能性が高いという場面でも、あえて最初は普通のヒッティングの構えをしておくというのも一つの方法です。

その方が、バントの構えで緊張して身体が固くなることを防げます。

転がす方向を決めておく

バントは、やる前から転がす方向を決めておかないと失敗する可能性が高いです。

例えば自分が右バッターだとして、インコースに来たら三塁側、アウトコースだったら一塁側という風な待ち方はオススメできません。

投球コースを瞬時に判断して、バットの角度を変えて確実にゴロを転がすというのはかなりの高等技術です。

ランナーの状況や相手の守備スキルを見極め、最初からバントする方向を決めておきましょう。

もし一塁方向に転がすと決めたら、自分が一塁方向に転がしやすいボールを待てばいいのです。

特に軟式の場合は、少しバットがズレると小フライになりやすいので気を付けてください。

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バントの種類

バントと言っても、全てを一括りにして説明することは出来ません。

バントは場面によって、やり方や目的が全く異なるのです。

野球の試合における、バントの種類を整理しておきましょう。

送りバント

送りバントは、バントの中でもおそらく最も出現頻度が高い戦術でしょう。

送りバントの目的は、ランナーを一つ先の塁に進めることです。

ランナー1塁の場面や、ランナー2塁、または1,2塁の場面で送りバントのサインが出るでしょう。

打者自身はアウトになってもいいという作戦なので、ワンアウトかノーアウトの場面でしか送りバントは出来ません。

相手の守備体型によってファースト方向に転がすか、サード方向に転がすか、状況を見て判断します。

しっかり打球の勢いを殺して、ボテボテのゴロにするのが送りバントのコツです。

ただ、打球が弱すぎてキャッチャーにすぐ捕球されてしまうと、ランナーがフォースアウトになってしまう可能性が高いので注意しましょう。

近年ではセイバーメトリクスなど野球のデータ分析が盛んにおこなわれており、実は送りバントをすると得点の確率が下がってしまっているというデータもあります。

そのため、送りバントは意味がないとする論調もあるのが事実です。

この辺りは、次の打者の力量や得点差にも左右されますので一概には言えませんね。

セーフティバント

セーフティバントは主にランナーがいない状態で行われることが多いバントで、自らが内野安打で出塁するのが目的です。

足の速い左バッターがセーフティバントを用いることが多く、基本的にサード側のライン際に転がすのがコツです。

できればキャッチャーではなく、ピッチャーか三塁手に打球処理をさせるくらいのゴロを転がしたいところですね。

セーフティバントを警戒されている打者なら、あえて1塁方向にバントを転がすのも作戦です。

ダッシュしてくる1塁手とピッチャーの間に、強めのバントを転がします。

2塁手はファーストベースに走っているので、上手くいけば無人の1,2塁間にセーフティバントを転がせるのです。

スクイズ

スクイズは、ワンアウトと引き換えに1点をもぎ取るためのバントです。

ツーアウト以外で、ランナーが3塁にいるときにスクイズが使えます。

サードランナーが投球と同時にホームに突っ込み、打者はとにかくフェアゾーンに打球を転がすことが使命です。

とりあえずゴロを転がしさえすれば、サードランナーはスタートを切っているので生還できる可能性が高いわけですね。

試合の終盤で、あと1点取れば同点の場面や、相手ピッチャーの調子が良くてタイムリーヒットが見込めない状況のときにスクイズをします。

通常、大差がついているときにスクイズはやりません。

また、バッターがボールにバットを当てられなかったり、ファールになったりすると、その後は普通のヒッティングに切り替えられることが多いです。

スクイズは、警戒されるとボール球で外されるので、スタートを切っているサードランナーが刺されてしまいます。

ですのでバッターは、どんな形でも良いのでとにかくフェアグラウンドにゴロを転がすことが求められるわけですね。

ドラッグバント

これは主にセーフティバントのときに行われるバントの手法で、左打者がファースト側にバントをするときの形です。

「引っ張る・引きずる」という意味があるドラッグという言葉で表現され、まさにファースト方向に走り出しながら引っ張るようにバントをします。

バントでありながら勢いのある強めの打球が転がることが多いので、バントと判断して前にダッシュしてきた野手の間を抜くようなゴロが理想的です。

プッシュバント

ボールがバットに当たる瞬間に、押し込むように力を入れるバントです。

通常のバントは弱い打球を転がすことが求められますが、プッシュバントでは意図的に強いゴロを転がします。

ほとんどセーフティバントのときに用いられるバントのやり方です。

相手の内野守備陣が深めに守っているときや、ピッチャーが投球後にどちらかに身体が流れるクセを持っている時に、空いているゾーンにプッシュバントをします。

相手の守備体型を見る視野の広さが求められ、ある程度の足の速さも必要です。

バントでのバットの握り方

  • バットの芯より少しグリップ側を持つ
  • 指先だけでなく手のひら全体で掴む

バントの場合、通常のバッティングとはバットの持ち方が違います。

特に後ろ側の手の位置が重要です。

右バッターでいえば右手、左バッターでいえば左手になります。

バントではバットの芯よりも若干先の位置にボールを当てるのが理想的です。

なぜなら、芯に当たってしまうと反発力が強くて勢いのある打球が飛んでしまうからです。

基本的には打球の勢いを弱めたいので、あえて少し芯の先でミートするように外します。

そのため、後ろ側の手で握る位置は、バットの芯より少しグリップ側が適しているでしょう。

芯の部分を持ってしまうと、ボールとバットの間に指が挟みこまれてケガをする可能性があります。

逆にグリップに近すぎると、バットの角度が安定せずにフライが上がってしまうかもしれません。

バットの掴み方としては、手のひら全体でしっかり握りこんだ方が良いです。

バントのときにボールが当たる衝撃は強いので、指先だけで持っていると勢いに負けてファールになります。

ゴロ方向を安定させるためにも、しっかり握りましょう。

バントの練習方法

バントの練習方法は主に3つあります。

  • 片手でボールをキャッチ
  • 片手でバント
  • 通常のバント

片手ボールキャッチ

バントの構えを作ったら、バットを外して手だけでボールを受けます。

当然、近い距離で下から投げてもらった緩いボールで練習してください。

手の位置と顔の位置が離れないように、少し高めのコースにボールを投げてもらいます。

バントの正しいフォームを確認することと、投球をバットで受けるような感覚を養う練習です。

片手バント

バントの精度を上げるために重要なのが、バッターボックス内でキャッチャー側にある手です。(右打者の右手、左打者の左手)

特にバントの威力を決めるのがこの手なので、投手が投げたボールの勢いを吸収するようなつもりでバントします。

そのイメージを養うための練習です。

片手バントなので、緩いボールで大丈夫です。

通常のバント

通常のバントを繰り返して、自分なりの感覚を掴むことがもちろん大切です。

バントは数をこなせばそれだけ上手くなります。

最初は膝の曲げ方や顔の近づけ方を意識してバントのフォームを固めますが、慣れてくれば深く考えなくても出来るようになるものです。

数多くバント練習をする場合は、芯に近いところを握る手に保護グッズを装着するのも良いでしょう。

厚めの手袋や、剣道で使用される小手などを利用して手の怪我を予防するのもアリです。

まとめ:バントは野球の重要な作戦

  • バントのコツは膝を柔らかく使う
  • 手と顔の位置を離さないこと
  • できるだけリラックスしておく
  • まずは緩いボールで練習する
  • 自分がバントしやすい形を見つける

 

バントのコツをいくつか紹介してきました。

野球の醍醐味は遠くに飛ばすことだと思いますし、気持ちよく打った方が楽しいのは確かです。

ただ、チームで勝つことを考えれば、バントが最良の作戦となる場面は訪れます。

そのときに確実にバントを決められる選手は、絶対にチームに必要なのです。

いつバントのサインが出ても焦らないように、自分のバントの形を見つけておきましょう。




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