選球眼は、良い打者にとって必須の条件とも言えますよね。
しかし、プロ野球選手でもない限り、その人の選球眼が良いかどうかというのは判断しにくいものです。
ましてや、練習したことで選球眼が良くなっているというのを実感するのも難しいですよね。
そこで今回は、選球眼の意味や鍛え方についてまとめていきたいと思います。
選球眼の良さを計る指標についてもご説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
選球眼とはどういう意味?
選球眼とは、一般的には「ストライクを振ってボールを見送る」ということの能力を指します。
打率が良いとかホームランを良く打つといったこととは、また別のスキルになりますよね。
選球眼の良い選手は、フォアボールが増えます。
フォアボールが増えればヒット以外でも塁に出る回数が増えるわけですから、打率よりも出塁率はかなり高くなるはずです。
すなわち、選球眼が良いということはフォアボールを多く獲得できるということであり、出塁率が高い選手であると言えます。
しかし、わかりやすい記録以外のところでも、選球眼の良さは重要です。
例えばプロ野球の中継でも、明らかなボール球をホームランにしている場面を見たことがありませんか?
特にバッティングは個性が色濃くでるので、必ずしもボール球は打ってはいけない球ではありません。
ですから、自分にとって打ちやすい(得意な)コースを確実にスイングできるということが、選球眼の良さとも表現できますよね。
選球眼の鍛え方
選球眼の鍛え方は、野球だけにとどまらず日常生活の中でも行うことが出来ます。
単純な視力とは違う、選球眼の独特な鍛え方をご紹介していきましょう。
- 目線の位置を固定する
- バッティングフォームを見直す
- スイングスピードをアップさせる
- 本の速読を行う
- 車のナンバーを読み取る
目線の位置を固定する
選球眼を高めるのに大切なことは、スイングをしたときに目線がブレないことです。
特に目線の上下の動きをなくすことが出来れば、ボールをしっかり見られます。
普段の練習から、顔を残して目線だけでボールを追って振る練習をしておくべきです。
フリーバッティングはもちろん、ティーバッティングやトスバッティングの段階から頭の位置を固定したままスイングするということを心がけて練習しましょう。
バッティングフォームを改善する
選球眼という観点でいえば、バッティングフォームで大切なのは踏み込み方です。
踏み込んでインパクトにいくときに、踵(かかと)から地面にドスンッと踏み込んでしまうと衝撃が身体に伝わります。
そのせいで目線がブレてボールがよく見られなくなるので、足の着き方が重要なのです。
つま先から地面に着地するようにして、身体に伝わる衝撃をなるべく少なくします。
足を上げる高さを低くする必要は無いですし、すり足に変えなくても大丈夫です。
踏み込んで足を着いたときに、クッション作用がちゃんと働くようにすれば選球眼は高まります。
スイングスピードを向上させる
スイングスピードを高めて、ギリギリまでボールを手元に呼び込めるようにすれば選球眼は良くなります。
スイングスピードをアップさせるためには、とにかく振り込む量が必要です。
この記事もお読みいただき、スイングスピードアップに努めてみてください。
今までだったら早めにスイングを始動しないと間に合わなかったボールが、ギリギリまで手元に引きつけられれば見え方が変わります。
ボールを見極めるための時間を稼げるので、自然と選球眼も向上するでしょう。
打球の飛距離もアップするので、相手バッテリーからすれば配球にも気を使います。
ストライクゾーンとボールゾーンの「クサい」ところで勝負することになるので、フォアボールも増えるはずです。
速読を取り入れる
野球以外のところでも、本の速読を取り入れることは選球眼を高めることに役立ちます。
本の速読を上手く行うためには、眼球の動きがスピーディーになることが大切です。
この眼球の動きが動体視力にも活用され、動いているボールを見極めることに役立つわけですね。
これならグラウンドに出なくても行えるので、雨の日や練習が無い日などは速読をトレーニングとして行うのも有効な過ごし方になります。
車のナンバーを読み取る
選球眼を向上させるのに必要なのは、自分の方向に向かってくる物体を目で追う力です。
これを普段の生活の中に置き換えると、すれ違う車のナンバーを読み取ることが当てはまります。
前からやってくる車のナンバーを見て、一瞬で数字を足し算するというのも良いでしょう。
特に自分が車の助手席に乗っているときなど、対向車の車のナンバーを使ってトレーニングをするのがオススメです。
自分の移動速度と相手の車の移動速度も重なって、野球のボールに近い速度の動体視力が養えます。
選球眼を鍛えるメリット
選球眼を鍛えると、野球の試合の中でどのようなメリットがあるのでしょうか?
一つずつ整理していきましょう。
- フォアボールが増える
- ヒットを打てる確率が上がる
- 出塁率が上がる
- 相手投手に球数を多く投げさせられる
四球が増える
選球眼の良さをわかりやすく表しているのはやはり四球の数でしょう。
ボールゾーンの球を振らないバッターというのは、バッテリーからすると抑えにくいものです。
ストライクゾーンのボールをジャストミートできなかったとしても、ボールを振りさえしなければ塁には出られます。
イニングの先頭でフォアボールで出たランナーは生還しやすいという野球のジンクスもありますから、チームに貢献できることは間違いないですよね。
打率がアップする
選球眼が良いと、フォアボールが増えるので相対的に打率は上がります。
また、ストライクゾーンや打つべきボールの見極めが上達するので、ヒットを打てる確率もアップするでしょう。
好打者というのは、自分が打てるコースや好きなコースを逃しません。
1打席に1球来るかどうかの、自分が最も得意としているコースを確実に捉えられる選球眼を養いましょう。
出塁率が上がる
ヒットもフォアボールも増えるとなれば、出塁率は上がります。
現代野球で打者に最も求められている能力と言えば、出塁率です。
ヒットやホームランはどんなに良いバッターでも3割程度しか打てません。
四死球も含めた出塁率となれば、5割近くになる選手も出現します。
どんな形であれ塁に出られればチャンスになることは同じなので、勝つためには最も必要な能力なのです。
相手の球数を稼げる
選球眼が良くなれば、ボール球を確実に見逃がせるので相手投手の球数は増えます。
球数が増えれば当然スタミナが削れていくので、試合の中盤から相手の先発ピッチャーが疲れてくるでしょう。
疲れてくれば球威も落ちますから、剛速球を投げるような投手でもチャンスが出てきます。
チームとして中盤から終盤に一気に畳みかけるためにも、選球眼が良いバッターが並ぶ打線は嫌なものです。
選球眼がいい選手の特徴
選球眼の良い選手には、どのような共通点があるのでしょうか?
自分やチームの打線が選球眼を磨くために、どのようなバッターを目指せば良いのか参考にしてみてください。
- 長打力がある
- スイングスピードが速い
- 踏み込み方が安定している
長打力がある
選球眼の良さをフォアボールの多さと結びつけるならば、長打力がある打者は選球眼が良いです。
プロ野球選手でも、現在読売ジャイアンツで活躍する丸佳浩選手や、福岡ソフトバンクホークスで活躍している柳田悠岐選手などはフォアボールの数が多い選手として知られています。
両選手とも長打力がありますし、出塁率も高いです。
やはり長打力があるということは、相手のピッチャーやキャッチャーもストライクゾーンとボールゾーンのギリギリを攻めたいと考えます。
その分明らかなボールゾーンに投球が来ることも多くなるため、自然と選球眼が良いと評される選手となるでしょう。
ただ、選球眼そのものを鍛えているというよりも、長打力に磨きをかけた結果評価されるとも取れます。
選球眼を鍛える目的が出塁率のアップなのであれば、選球眼自体よりも長打力を伸ばした方が良さそうですよね。
スイングスピードが速い
スイングスピードの速さは、選球眼を伸ばすのに必要であると言えます。
プロ野球選手でも、先ほど挙げた柳田悠岐選手や、ヤクルトスワローズの山田哲人選手など四球数が多い選手はスイングスピードの速さもトップクラスです。
スイングスピードが速いということは、ピッチャーが投げたボールをギリギリまで懐に呼び込んでも捉えられます。
呼び込める分だけボールを見極められる時間を稼ぐことができ、それが選球眼の良さに繋がるのです。
逆にスイングスピードが遅いと、ボールをミートするためには早くスイングを始動しなければなりません。
その分ボールを見極める時間が取れないので、結果的にボール球だったとしてもバットを止められないということですね。
踏み込み方が安定している
選球眼の良さとバッティングフォームはある程度の相関性があります。
特に投手側の足(右打者なら左足、左打者なら右足)を踏み込んだとき、つま先で柔らかく踏み込むバッターは選球眼が良いです。
その方が地面に足を着いたときに身体に伝わる衝撃が少なく、目線のブレが少なくなるからです。
逆に踵(かかと)の方からドシッと地面に踏み込むバッターは、目線のブレも大きくなるので選球眼に悪影響が出やすいというわけですね。
山田哲人選手はあれだけダイナミックなフォームなのにも関わらず、頭の位置の上下動が少ないのがわかります。
目線が安定しているからこそ、選球眼が良くなるというわけですね。
プロ野球選手なら落合や鳥谷
選球眼が良い選手の代表的な存在と言えば、落合博満氏と鳥谷敬選手です。
落合博満さんは、プロ野球史上唯一の「三度の三冠王」を達成しています。
実際に、リーグ最多四球(最も多くフォアボールで出塁した選手)を8年連続で記録したことがあるくらいです。
2021年現在、現役で活躍する鳥谷選手は、史上15人目の通算1000四球を達成しました。
通算400本塁打以上を放っている選手が今まで20人いるので、通算1000四球というのは傑出度が高い記録だということが分かります。
選球眼を計る指標とは
選球眼は抽象的な表現でもあるので、良し悪しを判断しにくい野球の技術でもあります。
プロ野球ほどデータをしっかり取っていなくても、やはりわかりやすいのはフォアボールの数ではないでしょうか?
その他にも、選球眼の良さが計れる指標がいくつかあるのでご紹介していきます。
BB%
四球 ÷ 打席数で求められる値です。
打席数の中に四球が占める割合を示しています。
10打席立って2回フォアボールで出塁すれば、BBは20%ということになりますね。
もちろん、選球眼が良ければボール球を見極められる確率が高くなるので、BB%も高い割合になるはずです。
しかし、強打者であるほどバッテリーは際どいコースを攻めようとするものですよね。
その結果四球数が増えているのであれば、純粋に選球眼だけが影響するとは言えないかもしれません。
BB/K
四球 ÷ 三振で求められる値です。
フォアボールと三振の比率を求めることができる指標ですね。
要は、フォアボールが多くて三振が少ないほどこのBB/Kの値は大きくなります。
ただ、長打力が高く打率が低い打者の場合、フォアボールと三振がどちらも多いというケースがありますよね?
逆に、フォアボールも三振もどちらも少ない打者でも同じような値になるため、一概に選球眼に比例して高くなるとは言えないようです。
O-Swing% (ボールゾーンスイング率)
ボールゾーンに来た投球をスイングしたかどうかの割合です。
プロ野球界全体では、およそ30%前後の数値に落ち着くことが多いと言われています。
ただ、高校野球や草野球など一般的に野球を楽しむ人の間でボールゾーンスイング率を算出するのは難しいです。
とはいえ、選球眼を計る上で最も分かりやすく信頼のおける指標と言えるかもしれませんね。
Z-Swing% (ストライクゾーンスイング率)
打撃結果に関わらず、ストライクゾーンにきた投球をスイングしたかどうかの割合です。
選球眼とは、ボール球を見極めるだけではありません。
打つべきボール、すなわちストライクをスイングしにいけるかどうかも選球眼に関わってきます。
P/PA
投球数 ÷ 打席で求められる値です。
要は、1打席の間で何球ピッチャーに投げさせたかを計ることができます。
たくさんのボールを投げさせる選手ほど、ボールゾーンをしっかり見極めて、きわどいストライクゾーンはファールで粘れていると判断できそうです。
これも、選球眼の良い選手ほど高くなるでしょう。
まとめ:選球眼は現代野球の必須能力
選球眼を磨くことは、フォアボールや打率アップに繋がります。
出塁率も高まるので、チャンスメーカーの役割を担うことが出来るでしょう。
塁に出ることは攻撃において最も大切なことなので、選球眼が高い選手は打率が高い選手よりも価値が高いと言えます。
バッティングフォームの改善だけでなく、速読や車のナンバーなど、日常生活の中でも選球眼を鍛えることが出来るのでぜひ実践していきましょう。
筋トレなどとは違って効果が見えにくい能力ではありますが、選球眼が高い選手は間違いなく良い選手です。
今日からぜひ練習に取り入れていきましょう。