バットの握り方って、単純なようで意外と奥が深いものです。
何も考えずにバットを握るよりも、最も力が発揮しやすい効率的な握り方を追求した方が打率は上がります。
特に野球を始めたばかりの時期なら、最初にしっかりバットの正しい握り方を知っておけば、あとは意識しなくても勝手に癖がついてくれるはずです。
そこで今回は、正しいバットの握り方について解説していきます。
握り方のコツや、自分に合った握り方を探す方法も紹介していきますね。
バットの握り方は2種類
バットの握り方にルールはありませんが、オーソドックスな握り方は2種類です。
- フィンガーグリップ
- パームグリップ
どちらが正しいとか、どちらの方が優れているということはありません。
まずはバットの握り方が2種類存在していることを知り、自分に合った握り方を模索していきましょう。
フィンガーグリップ
フィンガーグリップとは、指先でバットを巻き込む握り方です。
ほとんど指先だけで握る方法なので、手のひらとバットの間に少し隙間が出来ます。
フィンガーグリップにするメリットとしては、バットの操作性の向上です。
いわゆる「遊び」ができるので、バットのヘッドを自由に動かしやすいのはフィンガーグリップでしょう。
俊足を生かしてコツンと当てて内野ゴロを打ち、内野安打での出塁を狙うタイプの選手はフィンガーグリップが合っているかもしれません。
また、フィンガーグリップで握る場合は、比較的グリップが細めのバットを使った方がしっくりきます。
重さも、軽めの物が良いでしょう。
パームグリップ
パームグリップは、手のひら全体で包み込むように握る方法です。
指を揃えた鷲掴みのような握り方になります。
パームグリップにするメリットとしては、インパクトの際に力を込めやすいという点です。
そのため、中距離打者やパワーヒッターと呼ばれるような打者はパームグリップを採用していることが多いでしょう。
ミートの際に手のひら全体を使ってバットを押し込めるため、鋭い打球や大きな打球を打ちたい場合はパームグリップの方が良いです。
また、細いバットよりも太くて若干重めのバットの方がパームグリップで振りやすいと言えます。
正しいバットの握り方とは
厳密には、バットの握り方に正しいとか間違っているという概念はありません。
結局、その人が最もバッティング能力を発揮できるのであればそれで良いのです。
その中で、プロ選手も良く行っているバットの握り方のちょっとしたコツをご紹介していきましょう。
- 人差し指を少し浮かせる
- 小指をグリップエンドにかける
- 右利きなら右手を上にする
人差し指を少し浮かせて握る
プロ野球選手にもたまにいますが、バットを握るときに人差し指を少し浮かせて構えているケースです。
一見すると力のロスが生まれてしまいそうですが、スムーズにスイングをするために利点となる場合もあります。
人差し指をあえて浮かせることで力が入りすぎることを防ぎ、リラックスして構えることが出来るようになるのです。
小指をグリップエンドにかけて握る
右打者なら右手の小指、左打者なら左手の小指をバットのグリップエンド(バットの下端)にかけるような形で握る人もいます。
バットを最大限長く使って、遠心力を利用してボールを遠くに飛ばせるという利点が生まれるのです。
小指自体はそもそも力が入りにくいので、バットを握る握力という観点でも、小指をグリップエンドにかけていても問題ありません。
右利きなら右手を上にする
右手が上になるということは、右打ちということです。
逆に左利きなら、左手が上になる左打ちの方が打球を遠くに飛ばしやすいという傾向があります。
なぜなら、バットでボールをミートした瞬間、捕手側に位置する手でしっかり押し込むことが大切だからです。
ミートの瞬間捕手側になるのは、バットを握ったときに上にある手となります。
俊足を活かすとか、特別な理由がない限りは基本的に右利きなら右打ちとなる方が遠くに飛ばせる打撃がしやすいということですね。
あとはバットを握るときの全般的なイメージとしてはこんな感じです。
- 構えの段階ではリラックス
- ミートの瞬間だけ力を入れるイメージ
- 握るときは薬指を中心に握る
この3つを覚えておいてください。
まず、バットを構えた段階では上半身をリラックスさせておいた方が良いです。
構えの段階でガチガチに力が入っていると、スイングの始動の際にスムーズにバットが出てきません。
そして、ボールとバットが当たる瞬間だけ爆発的に力を込めるイメージでスイングしましょう。
それが最もスイングスピードを速く、そして力のロスなくボールを弾き返すポイントです。
バットを握りこむときの感覚として、薬指を中心に握るようにするのが自然な身体の使い方でもあります。
薬指がメインで、他の指はほぼ添えるだけというイメージでバットを握って構えましょう。
自分に合ったバットの握り方を探す方法
バットの握り方を試す際に、自分に合った握り方を確かめる方法が2つあります。
- バットでタイヤを叩く
- 芯を人に押してもらう
この2つの方法で、自分がミートの瞬間に最も力を入れやすいバットの握り方が確かめられます。
まず一つは車のタイヤなどを叩く方法です。
外した車のタイヤを木に吊るすなどして、バッティングの際のミートポイントとなる高さにセットします。
そのタイヤを、実際にバットでスイングして叩くのです。
その際、様々なバットの握り方を試し、最も強く叩ける感覚があった握り方を試合でも実践しましょう。
そしてもう一つは、人に芯を押してもらう方法です。
バットを持ってインパクトの形を作ります。
その状態で、人に芯の部分をキャッチャー方向に押してもらうのです。
その際、最も強く抵抗できる握り方が、自分に合っている握り方となります。
いずれにせよ、フィンガーグリップやパームグリップ、長く持つか短く持つかなどいろいろな握り方を試して試行錯誤してみてください。
バットの握り方で絞るのはNG!?
バットの握り方は、基本的には正解や不正解というものはありません。
しかし、これだけは避けておいた方がいいというバットの握り方を二つだけご紹介しておきましょう。
- グリップエンドに指をかけすぎる
- 握った両手を絞りすぎる
一つ目は、グリップエンドに指をかけすぎる握り方です。
グリップエンドに小指や薬指をかけてしまうと、手首の可動域が狭くなってバットのコントロールが難しくなる場合があります。
ヘッドが下がってしまい、効率的に力が伝わりにくいスイングになってしまう可能性があるのです。
できればグリップエンドに小指をくっつけるくらいで、とどめておきましょう。
もう一つは、握ったときに両手を絞りすぎないことです。
よく昔からのバッティング指導で、「脇を閉めろ」と言われることもあります。
これは、スイングの際にバットのグリップが身体から離れすぎて、ドアスイングになってしまうことを予防するための言葉です。
それを勘違いして、バットを握ったときに雑巾を絞るような形で両手を絞りすぎる人がいます。
両手を絞りすぎると、ミートの瞬間に球威に負けないインパクトが出来ません。
最も力が入りやすい握り方を探し、脇を閉めすぎないこともコツの一つなのです。
プロ野球選手のバットの握り方
- 大谷翔平選手
- 柳田悠岐選手
- メジャーリーガー全般
これらの選手について、バットの握り方を見てみましょう。
大谷翔平選手のバットの握り方
大谷翔平選手のバットの握り方は、右手の人差し指を少し浮かせています。
小指はあまりグリップエンドにはかけず、グリップ内で握りこんでいる形ですね。
左右の手首は絞り過ぎず、左の脇を上げて少し余裕を持たせている握り方となります。
柳田悠岐選手のバットの握り方
柳田悠岐選手のバットの握り方は、人差し指を浮かせたり小指をグリップエンドにかけたりせず、しっかり握っている印象です。
手のひらとバットの間をあまり空けているような感じではないので、比較的パームグリップに近いと言えるでしょう。
メジャーリーガーのバットの握り方
メジャーリーガーのバットの握り方として、2021年現在現役最強野手との呼び声高いマイクトラウト選手を見てみましょう。
トラウト選手は、両手とも指を浮かせることなくバットを握っています。
右肘を開いた構え方なので、手首も絞られることなく開いているようです。
指先で握るというよりは、パームグリップに近く手のひら全体で握っているように見えますね。
バットを短く握るか長く握るか?
バットの握り方でもう一つ気にしなければならないのが、長く持つか短く持つかという点です。
それぞれ利点が異なるので、プレースタイルや役割によって変えていきましょう。
バットを短く握るメリット
- バットの操作がやりやすくなる
- バットを軽く感じられる
バットを短く握ることで、バットの操作性が上がります。
変化球など細かい軌道の変化にも対応しやすくなるので、とにかく三振したくない場面などでは短く握った方が良いでしょう。
また、長いバットを使ってそれをあえて短く持つという方法もあります。
一見すると長いバットを使っている意味がなさそうに思えますが、実は利点があるのです。
長いバットを短く持つことで、バットの重心付近を持つことが出来ます。
そのため腕にかかる負担が軽減し、軽いバットを振っているような感覚でスイング出来るのです。
その上で長いバットの利点である遠心力も利用できるので、長いバットをあえて短く持つことにも意味があるわけですね。
バットを長く握るメリット
- 遠心力を使える
- 外角の遠いボールにも手が届く
バットを目いっぱい長く持つことで、トップに伝わる遠心力が最大になります。
遠心力が大きい方が、ミートしたときのパワーがアップするのです。
長打を狙いたい場合は、バットを長く持った方が良いでしょう。
また、外角の遠いゾーンのボールにも手が届きやすいというのも利点の一つです。
体格や場面で決める
バットを短く持つか長く持つかは、その人の体格やカウントで変化させるべきです。
自分にあったバットを使い、自分の筋力に見合ったバットの使い方をした方が打率は上がります。
- スイングしたときにバットが波打っていないか
- フォロースルーのときに身体がフラフラしていないか
このあたりをチェックポイントにして、自分に合ったバットの握り方をチョイスしてみてください。
まとめ:バットの握り方に正解は無い
バットの握り方は、基本的には自由です。
ただ、握り方が少し変わるだけでバッティングに与える影響は大きく変わります。
自分がどんなバッターになりたいのか?
チームで自分に求められている役割や、カウントの状況によって適切なバッティングができる握り方は何なのか?
そういったことも考慮しながら、いくつかの握り方を出来るようにしておくことも大切かもしれませんね。