野球のオープナーとは?メリットやデメリットも解説|ショートスターターとは違う!?

近年日本のプロ野球でも取り入れられるようになってきた「オープナー制度

特に日ハムが積極的に採用していますが、その意味やメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

似たような戦術に、ショートスターターやブルペンデーなどがありますが、それらとの違いについても解説していきます。

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オープナーとは

オープナーを簡単に表現すると、「リリーフ投手が先発して最初の1イニング(2イニング)を抑える」という作戦です。

本来は中継ぎやクローザーの立場である投手を初回に先発させ、確実に序盤の1イニングないし2イニングを最少失点で切り抜けるための作戦となります。

そのため、チームの中でも勝ちパターンのリリーフ投手や、力のある中継ぎ投手がオープナーの役割として先発起用されることが多いです。

元々は2018年にアメリカメジャーリーグのタンパベイレイズがオープナー制を採用し、その年の平均防御率を下げたことがきっかけで広まったと言われています。

日本では、このオープナー制に近い作戦として、ショートスターターという形で日本ハムファイターズが取り入れていることが有名です。

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オープナーのメリット

オープナー制をチームとして採用する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?

  • 初回の失点を減らせる
  • 先発投手の負担を軽減できる
  • 先発不足の球団でも戦える
  • 打者と投手の対戦回数を減らせる

それぞれ詳しく解説していきます。

初回の失点を減らせる

オープナーとして先発起用される投手は、チームの中でも力のあるクローザーやリリーフピッチャーとなります。

本来は僅差の試合終盤で勝ちパターンとして起用されるようなピッチャーなので、防御率は基本的に良いはずです。

9イニングのうち最初の1イニングだけでも確実に0点で抑えられれば、チームとしては戦いやすくなるわけですね。

先発投手の負担軽減

初回ないし2回までを他の投手で凌ぎ、その後に本来の先発投手を登板させることが出来れば、先発投手の体力を温存できます。

9イニングを完投したいと思って初回から投げるのと、残り8イニングを投げ切るのとでは、体力配分も異なるということですね。

しかも、初回というのは必ず相手の上位打線(1番から3番)と対戦することになります。

力のあるバッターが並ぶことが多いので、それを避けられるだけでも十分な効果と言えるでしょう。

先発不足の球団でも戦える

特にプロ野球のリーグ戦では、先発投手の頭数が重要になります。

日本では6人、メジャーでは5人の先発投手でローテーションするのが一般的です。

全員がエース級の投手というのは難しい上に、日程的にローテーションが厳しくなる時期もあります。

そこでオープナー制を採用して、これから育てたい先発投手を少しでも楽な環境で投げさせることができるというメリットがあるのです。

打者との対戦回数を減らせる

先発投手が9イニングを投げた場合、最低でも各バッターと3回以上は対戦することになります。

バッター目線で見れば、打席数が増えるほどボールに目が慣れ、打率も上がるわけです。

オープナー制で1番から3番まで力のある上位打線との対戦を1回減らすことが出来るだけでも、相手の得点確率を下げることが出来ると言えます。

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オープナーのデメリット

オープナーを全てのチームが採用しないのは、デメリットもあるからです。

  • 中継ぎ投手の酷使に繋がる
  • 失敗した場合に試合が壊れる
  • オープナーの投手評価が難しい

詳しく見ていきましょう。

中継ぎ投手の酷使

オープナーで先発するのは、本来中継ぎとして待機しているはずのピッチャーです。

もし本来の先発投手が完投した場合、その試合でリリーフ待機しているピッチャーは休むことが出来ます。

しかしオープナーを採用してしまうと、絶対に中継ぎ投手を使わなければなりません。

先発投手の完投機会を奪うので、その分中継ぎ投手の酷使に繋がるというわけです。

結果的に中継ぎ投手にケガや故障が多発すれば、本末転倒ということになります。

失敗した場合に試合が壊れる

オープナーとして起用されるのは、チームの中でも上位の実力を持っているリリーフ投手です。

もしその選手が初回に失点した場合、序盤からリードを許した試合展開になります。

しかもすでに力のあるリリーフを1人起用してしまっているので、試合終盤で大ピンチを迎えても今度は中継ぎ投手が手薄になっている可能性があるのです。

そこから大量失点を喫して、試合が壊れてしまう可能性は否定できません。

オープナー投手の評価が難しい

オープナーはまだまだ新しい戦術ですし、全ての球団が取り入れているわけではありません。

特にプロでは、成績が給料に反映されます。

オープナーの場合、勝ち投手の権利やホールド、セーブなど、投手としての分かりやすい数値的な成績に反映されません。

「勝ち投手の権利」の詳しい解説→≫こちらの記事≪

「ホールド」の詳しい解説→≫こちらの記事≪

「セーブ」の詳しい解説→≫こちらの記事≪

しかも、試合が始まった瞬間の緊張感は、試合途中で登板するのとはまた違う心理的な負担もあるわけです。

そのあたりも加味された、オープナーを担う投手の評価が確立されていないという点もあります。

オープナーとショートスターターの違い

オープナー制はメジャーリーグでよく目にするようになった戦術ですが、日本では完全なオープナーではなく、日本流にアレンジされた作戦なども存在しています。

  • オープナー
  • ブルペンデー
  • ショートスターター
  • ピギーバック

オープナーは初回の1イニングをリリーフ投手が投げるという戦術であることは、ここまで解説してきました。

その他の戦術についても、詳しく見ていきましょう。

ブルペンデー

ブルペンデーは、本来の先発投手を登板させず、普段は中継ぎまたはクローザーとして待機している投手だけで1試合を乗り切る作戦のことを言います。

1,2イニングで交代するため、同じ打者と2度対戦することがありません。

投手有利で試合を進めることが出来るので、有力な先発投手が揃えられないチームにとって有効な作戦とされています。

1試合で6、7人で継投していくことになるので、試合のテンポが遅くなるというデメリットもあります。

ショートスターター

ショートスターターは、先発投手が3,4イニング程度を投げ、その後を複数のリリーフピッチャーで繋いでいくという戦術です。

オープナーと違い、打者を1巡するくらい投げるのがポイントとなります。

日本のプロ野球で、日本ハムがこのショートスターターを採用して話題になりました。

一流選手でも打率が3割程度だということを考えれば、その投手とたった1回の対戦だけでヒットを打つのは難しいと考えることも出来ます。

ピギーバック

ピギーバックは元々「おんぶ」や「肩車する」という意味があり、野球用語でも使われています。

その意味は「1人の先発投手がもう一人の投手をおんぶしながら登板する」というイメージです。

具体的には、「2人の先発投手で試合を作る」ということになります。

1人目の先発投手が4,5イニング程度を投げ、残りの4,5イニングをもう一人の投手で締めるという継投方法です。

上手くいけば、2人だけで試合を終わらせることが出来ます。

アメリカのマイナーリーグではポピュラーな戦術で、まだあまり球数を多く投げさせたくない選手や、これから育てていきたい先発投手をピギーバックに組み込んでローテーションを回していくのです。

先発投手2人で試合を作るので、上手くいけばブルペン陣を休ませることにも繋がります。

オープナー制は意味がない!?

オープナー制は、元々先発投手がしっかり揃っていて、それぞれが独り立ちしている状況のチームにはあまり適しません。

ある程度力のある先発投手が投げられるなら、同じく力のあるリリーフピッチャーはベンチで温存しておいた方が良いからです。

しかし、先発投手が足りず、長いイニングを投げ切るという観点で個々の能力が他チームより劣ると判断される場合にはオープナー制が有効な戦略と言えるでしょう。

オープナー制に意味があるかどうかは、投手陣全体の状況で変わってくると言えますね。

まとめ:オープナーは新しい野球の価値観

ひと昔前の野球では、先発投手が先発完投することを美学とする風潮がありました。

しかし近年では、球数を管理して投手の故障を予防し、チーム全体で長いシーズンを乗り切るという考え方が定着しています。

その中で、オープナー制は新しい野球の価値観を象徴するような形で、徐々にポピュラーな作戦となってきている印象ですね。




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