野球の戦術を実行するには、サインによる意思疎通が必要になります。
攻撃時のバントや盗塁、ヒットエンドランなどの作戦は監督からのサインです。
投手と捕手のバッテリー間でも、キャッチャーからピッチャーに向けて球種やコースのサインが出されるのが一般的です。
そのサインの中でも、比較的相手チームに見破られにくい「ブロックサイン」という方式を採用しているチームが多いでしょう。
そこで今回は、野球の「ブロックサイン」について、その仕組みや出し方について解説していきます。
ブロックサインの仕組みとは
ブロックサインとは、野球のサインの出し方の一つです。
例えばサインはこんな感じで出されます。
身体や顔などいたるところを触りつつ、言葉を使うことなく味方に作戦を伝えることが可能です。
この野球のサインは、当然ですがチームによってルールがバラバラに決まっています。
腕を触ったらバントとか、おでこを触ったら盗塁とか、様々です。
その中でブロックサインというのは、ある「キー」となる部位を決めて、その直後に触ったサインが有効になるというサインになります。
例えば、「キー」を左手の手首に決めたとしましょう。
そして、右手の手首が盗塁、右の肘がバント、右の肩がヒットエンドランだと決まっているとします。
その上で、サインを出すときには体中のあらゆるところを触りますよね?
見ておけばいいのは、「キーとなる左手首の直後にどこを触るか?」という点のみです。
お腹や頭などあらゆるところを触っていく流れの中で、キーとなる左手首の直後に右肘を触ったなら、今回のサインはバントになります。
キーとその直後の動作以外は、流していて良いのです。
これがまさにブロックサインというもので、「キーとセットで出されるサイン」を指します。
ですからこの場合、頭を触った直後に右肘を触ってもバントではありません。
また、キーとなる左手首の直後に全く関係ないお腹を触ったとしたら、それは「ノーサイン」です。
何も作戦は無いということになります。
また、チームや年代によっては、キーとなる部位がイニングごとに変わることもあるでしょう。
盗塁やバントなど基本的な作戦を表す仕草は変わらずに、キーが変わるので、より相手チームに見破られにくいという特徴があります。
ブロックサインとフラッシュサインの違い
野球のサインの多くはブロックサインが採用されていますが、少年野球などではしばしば「フラッシュサイン」という方式も存在しています。
先ほどのブロックサインは「キー」となる部位がありましたが、フラッシュサインにはそれがありません。
例えば、頭の上がバント、お腹が盗塁だと決まっているとしましょう。
左腕や右腕など様々な部位を触っていく中で、頭の上を触った仕草があったらそのサインはバントになります。
キーとなるサインが無いので、その仕草が直接的に作戦を表すのです。
ただこれは、分かりやすい反面、見落としやすいという欠点もあります。
さらに、サインを出す側が気を付けないと、一連の動作の中で頭の上もお腹も両方触ってしまう可能性も出てきます。
フラッシュサインを採用している場合は、必ず決めたサインの中から一つの部位だけを触らなくてはなりません。
- ブロックサインは「キー」がある
- フラッシュサインは「キー」が無い
ブロックサインの出し方や例
サインが主に必要になる場面は、味方の攻撃時です。
ベンチの監督からバッターとランナーに向けて、作戦を共有するときに使います。
プロ野球では、監督からランナーコーチにサインが出て、ランナーコーチを経由して選手に伝わることが多いです。
他には捕手から内野手や外野手に向けて、守備シフトのサインを出すときや、捕手から投手に向けて変化球や直球を選択するときのサインを出すのが一般的でしょう。
ブロックサインの主な使い方は2つで、
- キーとなる部位を固定しておく
- キーが条件によって変わる
というパターンです。
わかりにくさとサイン伝達ミスのリスク回避を両立させるには、キーとなる部位を固定しておく方が良いでしょう。
キーを固定したブロックサイン
例えば、頭の上を触ったらバント、顎(あご)を触ったら盗塁、ベルトを触ったらヒットエンドランという風に基本のサインを決めておきます。
そして、キーとなるサインを「左手の肘」に固定したとしましょう。
身体の様々な部位を流れるように触りながらサインを出します。
その際に、「キーとなる左手の肘の直後にどこを触るか?」がサインとなります。
もし左手の肘の直後に頭の上を触れば、バントです。
その後他にも身体のあらゆる部位を触りますが、キーとその直後だけちゃんと確認出来ていれば良いわけですね。
キーが変わるブロックサイン
ブロックサインの要領は同じで、条件によってキーが変動するタイプのサインもあります。
この場合、解読が高度になるので、相手チームにサインがバレてしまうリスクが大幅に下がるでしょう。
例えば、イニングによってキーとなる部位を変える方法があります。
1回から3回までは右耳がキーで、4回から6回までは左手の手首がキーで、7回から9回まではベルトがキーといったように、各回でキーを変えるのです。
サインの読み取り方法は同じなので、選手やベンチは今のイニングも考慮に入れなければなりません。
まとめ:ブロックサインは複雑なルールがある
サインの出し方自体は各チーム同じような形になりますが、どこをキーとするのか?そもそもブロックサインを採用しているのか?など、そのチームによってルールが異なります。
単にキーとなる部位の直後に触った個所がサインとなるだけでなく、一度全てをクリアにしてリセットするキーなどを設定しているチームもあるので、敵チームが解読することはほぼ不可能でしょう。
サイン盗みは禁止事項なので、正々堂々と野球を楽しみたいですね。