野球の代表的な守備練習と言えば、シートノックですよね?
シートノックは野球場などの広いスペースが無いと出来ませんが、通常のノックと何か違いなどがあるのでしょうか?
今回は、野球のシートノックについて、効果的なやり方や意味などを解説していきます。
シートノックとは
シートノックは、全員がそれぞれのポジションに就いて行うノックのことです。
例えばこんな感じ
内野手や外野手が各々のポジションで打球を待ち、より実践に近い形で行うノックをシートノックと言います。
場合によっては、マウンド上にピッチャーを置いて行うこともあるでしょう。
シートノックと通常のノックの違いについては
- シートノックは各ポジションで受ける
- 通常のノックは、場所を問わず行うことが出来る
- シートノックは全体の連携
- 通常のノックは、個人の守備スキルのアップ
というような違いがあります。
ですから、シートノックは自分の守備動作を上手くすることだけでなく、他の選手との連携を練習するという目的があるのです。
ですからシートノックを行うには、野球場や学校のグラウンドなど広い場所が必要です。
他のノックであれば、個人の捕球技術や送球スキルを向上させることが最大の目的になります。
個人の技術だけを高める目的のノックであれば、全員が一か所に集まってノックを受けることもできますからね。
シートノックの順番に決まりはない?
シートノックは、各チームによって順番やルールが違います。
そのため、公式にシートノックの順番が決められたマニュアルが存在しているわけでは無いのです。
ただほとんどのチームは
- 内野でのボール回し
- 内野手のノック
- 外野手のノック
- キャッチャーフライの練習
- 全員で挨拶をして終了
という流れになるのが一般的です。
チームによってはボール回しを省略しているところもありますし、外野手がベースに入って内野のボール回しに参加するところもあります。
流れの一例を箇条書きでまとめてみると
- 内野でボール回し
- 内野ゴロ(ファースト送球)
- 外野手のセカンド送球(ゴロ・フライ)
- 内野手のゲッツー(併殺打)
- 外野手のサード送球(ゴロ・フライ)
- 捕手のセカンド送球&サード送球(バント処理)
- 外野手のバックホーム(ゴロ・フライ)
- 内野手のバックホーム(ゴロ・フライ)
- キャッチャーフライ
こんな感じです。
内野手の場合はサードから始まって時計回り(遊撃手・二塁手・一塁手)にノックを行い、外野手の場合はレフトから始まってセンター、ライトの順番でノックをしていくのがオーソドックスです。
ここに、一塁手や三塁手のバント処理が加わったり、投手が中に入ることもあるでしょう。
特に決まりは無いので、各チームのルールに則って行ってください。
シートノックを行う意味
シートノックを練習で取り入れる意味としては
- 野手全体の連携の確認
- 個人の守備技術の向上
- 緊張感のある守備練習
- 他の選手の守備を見る
このような意味があります。
やはりシートノックの大きな目的としては、野手全体の連携の確認でしょう。
単純に内野ゴロをファーストでアウトにするような動きは良いとしても、例えば右中間(ライトとセンターの間)に打球が飛んだときに、誰が中継に入るのか?などを確認しておかなければなりません。
ランナーの状況やアウトカウントなどを想定したシートノックも行われるはずなので、状況に応じた動き方を複数覚えておく必要があります。
また、「投内連携」という投手と内野手の連携を確かめるシートノックもあり、意外と動き方が複雑です。
バントの打球が一塁手とピッチャーの間に転がったときに、
「誰がファーストに入るのか?」
「どんな打球だったら一塁手が捕るのか?」
など細かい決め事を練習することが出来ます。
ノックを受ける以上、当然個人の守備技術の向上にも繋がるでしょう。
ただそれ以上に、シートノックではより試合の感覚に近いノックが再現できるので、緊張感の高まった練習になります。
フィールドの全員が自分のプレーを見ているので、色んな場所で同時に受けるノックとは気分が違います。
さらに、他の人の守備の動きをじっくり見る機会にもなるはずです。
一つの打球に対してどのような動き方をしているのか、ボールに触っていない人のカバーリングの導線まで勉強することが出来ます。
他のポジションの動きが見られるので、自分の中の引き出しが増やせるでしょう。
シートノックのやり方
シートノックの基本的なやり方は、主に2つのタイプに分けられます。
- ランナーを想定したシートノック
- ランナーを実際に付けたシートノック
どちらのノックにも共通していることは
- ノッカーが一人
- 一つの打球に対して全員で動く
ということが挙げられます。
その上で、試合前に行われるシートノックなどは、実際にはいないランナーを頭の中で想定しながら行うノックです。
キャッチャーが「ランナー1塁!」とか「ワンアウト、ランナー2塁!」などと声を張り上げて全体に伝え、その後ノッカーが打った打球に対して全員で動きます。
例えばランナー1塁の想定なら、ノッカーがセカンドにゴロを打った場合、実際にはランナーがいなくてもまず2塁ベースに投げてゲッツーを完成させる動きになるでしょう。
ランナー無しなら、内野ゴロは一塁に送球されます。
対して、「ランナー付きシートノック」というのは、実際にランナーを付けた状態でシートノックを行う練習です。
これは、野球チームの部員数が多いときにしか行えません。
2チーム以上作れるような人数がいる強豪校などでは、しばしばランナー付きシートノックが行われます。
やり方自体は普通のシートノックと同じで、想定する場面をキャッチャーから全員に伝え、ノッカーが打った打球を処理するものです。
違うのは、ノッカーが打球を打った瞬間にランナー役の選手が走り出すということです。
かなり試合に近いので、緊張感のあるシートノックになるでしょう。
試合前シートノックの時間と流れ
高校野球でもプロ野球でも、試合前にはシートノックが行われます。
中学野球でも同じで、全国的に同じようなルールで試合前シートノックの時間が決まっています。
- 少年野球は5分
- 中学野球以上は7分
これが多くの大会で共通する試合前シートノックの時間の決まりです。
7分だとしてもかなり短い時間なので、一人が打球を処理するのは2回か3回くらいになるでしょう。
試合前シートノックの一般的な流れとしては
- 内野手でボール回し(その間に、外野で1か所に集まってノック)
- 内野ゴロ(ファースト送球)
- 外野手のセカンド送球(左翼・中堅・右翼)
- 内野ゴロゲッツー
- 外野手のサード送球
- 捕手のバント処理(二塁・三塁送球)
- 外野バックホーム
- 内野バックホーム
- キャッチャーフライ
このような形です。
どの大会も、ベンチ入り選手は18人から20人程度のはずなので、投手を除けば野手は15人前後になるでしょう。
そのため、1つのポジションに2人ずつ選手がいるようなイメージになります。
一個の打球処理が完全に終わるまで待っていると7分に収まらないので、グラウンド上に2つのボールが常に動いているような状況になるはずです。
正直言ってかなり忙しいシートノックになります。
守備のレベルが上がるほど多くのノックが出来るので、相手チームには威圧感としてプレッシャーを与えることになるでしょう。
プロ野球のシートノックは、高校野球などよりもう少し全体がゆったりしていますが、一つ一つの動きは俊敏で見ていて惚れ惚れするものです。
シートノックがすごいチーム
シートノックのやり方を知るには、上手いチームのシートノックを見るのが手っ取り早いです。
プロ野球のシートノックがすごいのは当然として、レベルの高い高校生のシートノックもかなり見ごたえがあります。
いくつかご紹介していきましょう。
大阪桐蔭
甲子園春夏連覇を果たした世代の大阪桐蔭高校です。
花巻東
菊池雄星投手や大谷翔平選手といったメジャーリーガーを2人も輩出した岩手の強豪校です。
ボール回しを行わないパターンのシートノックを行っています。
浦和学院
埼玉の強豪浦和学院は、まず最初に投内連携からスタートする珍しいシートノックになっています。
健大高崎
甲子園でも「機動破壊」のフレーズで有名になった、群馬県の強豪校です。
仙台育英
毎年のように甲子園に出場している、宮城県の強豪校です。
星稜
松井秀喜さんを始め、何人もプロ野球選手を輩出している石川県の高校です。
智辯和歌山
和歌山県の強豪校、やはり昔からずっと強いだけあって、シートノックでもレベルの高さが分かります。
まとめ:シートノックで相手チームを圧倒しよう!
プロ野球でも高校野球でも、シートノックの上手いチームはやはり強いです。
守備が上手くなるために練習することはもちろんですが、試合前から相手を威圧することも出来ます。
まずは自分のチームのシートノックの流れを決め、流れるようなノックができるように練習を積み重ねていきましょう。