内野ゴロをさばくというのは、守備練習の基本です。
しかし、ただ向かってきた打球にグラブを出すだけでは、意外としっかり捕れないという奥深さもあります。
試合の中でいえば、内野ゴロを止めてグローブでキャッチするだけでは不十分です。
いかにエラーの確率がすくない体勢でボールに入っていくのか?いかに投げやすい形でゴロを捕球するのか?
このような合理的なことを考えつつ、取れるアウトを確実に取得するために内野ゴロのさばき方を練習しておく必要があります。
ノックは受ければ受けただけ上手くなると言われますが、それも目的意識があってこその話。
そこで今回は、内野ゴロのさばき方の基本をご紹介していきます。
ゴロの正しい捕球姿勢や練習方法などもご紹介していきますので、ぜひ守備上達の参考にしてみてください。
内野ゴロをさばくときの基本
内野ゴロの捕り方は、まず基本を徹底的に身体に染み込ませることが大切です。
何度も反復練習をしていると、意識しなくても自然に身体が動くようになってきます。
ゴロのさばき方で意識するポイントをまず4つ整理しておきましょう。
- 右側から入る
- 右足、左足の順番で着く
- 捕りやすい位置にバウンドを合わせる
- グローブは下から出す
ゴロには右から入る
内野ゴロを考えた場合、基本的には打球に対して右側からアプローチしていきます。
ゴロが転がったら、打球が向かっていく延長線上にラインを引くようにイメージしてください。
そのラインに対して、右側から入っていけたらスローイングまでの動作がスムーズにこなせます。
打球の強さにもよりますが、自分より右側に飛んできた打球でも、後から回り込むようにしてラインの右側からライン上に入っていくのです。
ここで勘違いしてはいけないのが、打球が向かってくる間ずっとライン上、すなわち正面で待っている必要はありません。
打球の正面でずっと待っていると、バウンドが合わなかったりイレギュラーに対応しにくくなります。
打球を捕る直前にライン上に入れた方が、投げる方向に勢いもつけながら捕球ができるので、スムーズに流れるようなゴロのさばき方が出来るわけです。
右足→左足の順番
内野ゴロの打球に対してラインをイメージできたら、最初にラインの右側に右足を置き、その後左足を開いてラインをまたぐという感覚で入ります。
右足を置いてから左足を開いていくことで、身体の正面がライン上に自然と重なるはずです。
これがラインの真正面から打球に近づいていき、左足の位置を先に決めてしまうと、身体の勢いが完全に無くなってしまいます。
そこから1塁に投げるにあたって、内野ゴロ捕球の瞬間完全に静止した状態から動きださなければならなくなるのです。
ダブルプレーを狙うときなど、自分の右側にボールを放るときはそれでも良いかもしれませんが、状況に応じて意識的に使い分けることが重要になります。
バウンドを合わせる
緩いゴロだったとしても、バウンドが合わないだけでファンブルする可能性は大きく上がります。
バウンドの合わせ方には3種類あり
- バウンドの落ち際
- ショートバウンド
- ハーフバウンド
これらのどこでキャッチするのが確実なのか考えてみてください。
最もエラーの可能性が低くなるのは、バウンドが落ちてくる過程でキャッチすることです。
バウンドが最も高くなった頂点から地面に向かっていく途中でキャッチすることになるので、イレギュラーバウンドや球足の速度が変わる危険性が無いからです。
ランナーの足の速さや打球の遅さを考慮して、余裕がありそうならバウンドが落ち始めるところで捕れるように合わせましょう。
ただ、低いゴロの場合はそうもいきません。
その次に捕りやすいバウンドは、ショートバウンドです。
ショートバウンドは、自分のすぐ目の前で弾む打球のことを指します。
ボールが地面に接触して、上がってこようとする直後のバウンドなので、多少のイレギュラーバウンドにも対応がしやすいからです。
ショートバウンドには顔を背けてしまいがちですが、むしろ良く見てグローブを差し出すだけで勝手に打球が入ってくれるバウンドでもあります。
打球の軌道が上昇しだす瞬間なので勢いがありますが、冷静に対処すれば意外と簡単に捕れるのです。
もっとも難しいのが、ハーフバウンドになってしまった場合でしょう。
ハーフバウンドとは、ライナー気味の打球が自分の2メートル程手前の付近でバウンドして、打球の軌道が上に向かっていく途中でキャッチしなければならないケースです。
要は、バウンドも上がり切らない中途半端なタイミングということですね。
差し込まれてしまいますし、打球も速いケースが多いので難しいバウンドと言えます。
仕方なくハーフバウンドで捕球しなければならないこともあるので、最悪身体に当てて正面に落とす気持ちでも大丈夫です。
ハーフバウンドになるような打球速度であれば、一度落としてから拾って送球しても十分間に合うはずですからね。
グローブを下から出す
内野ゴロ捕球の瞬間は、グローブを下から上に向かって動かすことを意識すると良いです。
もちろん最初は地面よりも高い位置でグラブを構えているわけですが、捕球の際に上から下に向かって突き出すようにグローブを出すと、打球を弾きやすくなります。
打球の勢いと喧嘩するような形で捕らなければならなくなるので、できるだけ衝撃を吸収して柔らかくキャッチするためにも、下からすくい上げるように出すのが基本です。
また、グローブを下から上に向かって動かすことで、その後のスローイングにも自然な流れで入れます。
ボールを投げる動作が上から腕を振り下ろす動作だとすれば、グローブを下から上に持ってくることですぐに送球のトップを作れるわけです。
内野ゴロが捕れない人の共通点
内野ゴロがなかなか上手く取れない人には、ある程度共通点があります。
ただ闇雲にノックの数を受けるだけでなく、意識的に身体を動かすことで上達は早まるものです。
- 正面で待ちすぎている
- 足が止まっている
- 捕るときの腰が高すぎる
- 打球に衝突している
ゴロを真正面で待っている
昔から、ゴロは身体の正面で捕ることを教えられることが多いです。
しかし、打球が放たれてからずっと正面で打球を待っていると、距離感が掴みにくいことがあります。
それよりも、ラインの右側に立って横から見るような形にすれば、打球の勢いやバウンドの高さなどを把握しやすいのです。
足が止まっている
特にゴロが自分の正面に来た時に、前に出られない選手が多いでしょう。
早すぎるタイミングで捕球姿勢を作って待っていると、イレギュラーバウンドに対応できませんし、そもそもバウンドを合わせられません。
必ずしも前に出る必要は無いので、後ろに下がることも視野に入れてバウンドを合わせましょう。
ずっと低い姿勢で腰を落とし続けていると、身体が動かなくなります。
バウンドを合わせるまでは重心を落としすぎずに追いかけ、捕球姿勢を作るときに腰を低くして安定させましょう。
捕るときの腰が高い
捕球姿勢を作るときには、しっかり腰を落とすことが重要です。
腰を落としたほうが良い理由としては
- 捕れなくても身体に当てて止められる
- 送球への移行がスムーズにできる
ということが挙げられます。
打球を追うときまでずっと腰が低いままだと動きにくいですが、捕球体勢のときだけは重心を落として安定させた方が確実性が高まるでしょう。
また、重心が高い状態でグローブだけを下に差し出す格好になると、打球の勢いとグローブの面がぶつかって反発が起こります。
ボールを弾きやすくなりますし、トンネルしてしまう危険性もありますから、腰を落としたほうが良いのです。
打球に衝突している
ボテボテの打球には突っ込んでいった方が良いですが、そうでない場合は前に出すぎるのは良くないです。
ダッシュで勢いよく前進したとしても、バッターランナーの足の速さを計算して捕球の直前ではスピードを緩めて勢いをセーブしてください。
そうでないと、打球が向かってくる勢いとダッシュの勢いが衝突して、グラブでボールを弾く可能性が高まります。
目の前に来たゴロは確実にアウトにしなければいけない打球なのです。
ファインプレーを見せるよりも、確保できるアウトを確実に取ることが守備の鉄則ですからね。
内野ゴロの捕球姿勢
内野ゴロを確実にさばくには、状況別の捕球姿勢を身に着けておくことが大切です。
まずは基本を押さえて、試合の中でどんな打球にも応用が利くように練習しておきましょう。
正面の打球
自分の真正面に地を這うように向かってくる打球というのは、意外と難しいものです。
打球を上から見下ろすような形になると、打球の勢いや距離感、バウンドを見極める難易度が上がります。
打球が手元に来るまでに余裕があれば、少しラインの右側から回り込むように入りましょう。
足の形は、左足が若干だけ前に出るように捕球姿勢をとると、送球動作へとスムーズに移行することが可能です。
速い打球は仕方ないですが、真正面のゴロもバウンドを合わせて前後に動くとエラーの確率を限りなく軽減することが出来ます。
自分の左側
ショート、サード、セカンドを守っていて自分の左側にゴロが飛んできた場合、打球に対して一直線に追っていくとバウンドが合わない可能性があります。
ボテボテの高いバウンドだったら突っ込んで良いですが、それ以外ならしっかりタイミングを見計らった方が良いです。
特に、打球の正面に回るのが早すぎると間合いが分からなくなる可能性もあります。
打球のラインに入って静止するのではなく、左側に走っていく過程でキャッチできれば流れるようなプレーが出来るでしょう。
自分の右側
自分の右側に来た打球は、速い打球でなければあえて回り込んで捕ります。
打球のラインに対して右から左に移動する過程でキャッチすることができれば、強い送球でランナーを刺せるでしょう。
痛烈なゴロやハーフライナーの場合は、逆シングルで捕球します。
身体の正面で止めろという指導者もいますが、逆シングルの方が手の操作性も上がり、グローブに入れやすくなるのです。
確かに体で当てて止めるという方法もありますが、無理して正面に入る必要はありません。
内野ゴロのさばき方のコツ
内野ゴロを上手くさばくには、どんな打球にも共通するコツを押さえておくことも大切です。
- 動きやすい構え方
- 一歩目を素早く切る
- グローブを立たせる
- 正面で足を止めない
特に内野手の場合、ボールがバットに当たってから手元に打球が来るまで時間がありません。
いかに反応良く一歩目を切れるかが大切なのです。
構え方と動き出しが大切
一歩目を最速でスタートするには、守備の時の構え方と打球が当たった瞬間の動きが重要です。
少年野球では、「腰を落とせ」と再三言われることもあるので、多くのプレーヤーが勘違いする部分でもあります。
実は、打球が来る前から腰を落としすぎるとかえって動けなくなるのです。
確かに腰を落としたほうが重心が下がるので、安定した捕球姿勢が取れるかもしれません。
しかし、まずは打球に追いつかなければ話になりませんよね?
スムーズに動くためには、筋肉を過度に緊張させていてはダメですし、重心もある程度高くないとダメです。
軽く膝を曲げる程度に、リラックスして構えましょう。
また、一歩目を素早く切るコツとしては、「打球が当たる瞬間に軽くジャンプする」ということも挙げられます。
テニスのスプリットステップのような感じで、軽く身体を浮かせるイメージです。
例えばこんな感じ
軽く浮くことで、筋肉の収縮を利用してダッシュ力に繋げます。
浮いている間に打球方向を判断して、最適な方向にスタートを切るのです。
グローブを寝かせない
いざボールをグローブで受ける際には、手首が垂れているとボールの勢いに負けてしまいます。
手首は完全に脱力するのではなく、軽く力が入る程度でグローブを立たせるイメージで捕りましょう。
グローブを動かす方向は、地面から上に向かって動かします。
地面から動かすイメージでいた方が、急なイレギュラーに対応しやすいです。
さらに、送球動作に最速で以降するためにも、細かな動きの無駄を省くことにも繋がります。
正面で止まらない
打球に早く追いつきたい気持ちが強すぎて、打球が来るライン上で長く待ってしまうことも良くありません。
ライン上で長く待ちすぎると、一塁送球への流れが分断されてしまいます。
送球に勢いがつかないので、ギリギリのタイミングだとセーフになってしまうかもしれません。
ファースト送球の場合、ラインの右側から入って流れの中で送球できるように心がけましょう。
内野ゴロは逆シングルで捕ってもいい?
日本の野球では、逆シングルでの捕球をあまり良しとしない風潮も一部ではあります。
しかし、メジャーリーグではむしろ逆シングルでキャッチする選手が多い印象です。
考え方としては、最悪でも身体に当ててボールを前に落とそうというのが根底にあります。
でも実際は逆シングルの方がグローブを操作しやすいケースも多いですし、ハーフバウンドなどは身体の正面でキャッチするのが難しいです。
むしろ逆シングルで半身になってキャッチした方が、ゴロの処理がスムーズにいく場合も多いですからね。
無理に回り込まずに、打球によっては逆シングルで合わせることも頭に入れておくべきでしょう。
身体で止めることありきで入るなら正面ですが、グローブで捕ってアウトにすることを最優先にするなら逆シングルは大いにアリです。
内野守備を上達させる練習方法
内野守備を上達させるには、ノックを数多く受けることが大切です。
それ以外にも、基礎的な部分でしっかりトレーニングができる練習方法をご紹介していきましょう。
ゴロにバウンドを合わせる練習
バウンドがしっかり合わせられれば、捕球体勢が良くなくても簡単に捕れます。
そこで役立つのが、ノッカーが言ったバウンドで捕球する練習です。
ノッカーには緩くてバウンドの高いノックを打ってもらい、「2バウンド」とか「2バウンド目でショートバウンド」などと指定してもらいます。
野手は言われた通りのバウンドでキャッチするのです。
バウンドがなかなか合わせられない選手は、そもそもバウンドを合わせようという意識が無いケースがほとんどです。
ですから、まずはバウンドを合わせて動くという意識付けをしましょう。
ゴロの捕球姿勢を作る
次は、捕球姿勢を作る練習です。
バウンドが合わせられたら、捕球の瞬間に腰を落として確実にキャッチします。
動きやすくて、かつイレギュラーにも対応できる、理想的な捕球体勢を作りましょう。
この練習方法なら、狭い場所や室内でも可能です。
トスしてもらったボールを、しっかり腰を落としてキャッチすることがポイントになります。
地味ですが、反復して何度も練習することで安定した守備力が手に入るのです。
まとめ:内野ゴロのさばき方は自分に合った形で
ここまで内野ゴロのさばき方について基本をご紹介してきましたが、人によっては「右足が前の方が良い」とか「左足が前であるべきだ」とか、様々な意見があります。
完全な正解というものは無いので、自分のやりやすい方法で行いましょう。
本来の目的は、お手本通りの形で内野ゴロをキャッチすることではありません。
いかに確実に、凡打をアウトにできるようにするかが本来の目的なので、それが達成できればどんな形でも良いのです。
野球を続けていく中で、自分なりのスタイルを見つけられると良いですよね。
まずは、上手い人をマネしながら、自分の中の引き出しを増やしておきましょう。