ヒッチとコック【野球で活躍するバッターのスイング】その役割や効果とは?

野球で最近になってよく言われるようになった技術に「ヒッチ」や「コック」というものがあります。

ヒッチもコックもどちらもバッティングの際に用いるテクニックのことですが、強打者がよく取り入れているということで話題になり始めました。

しかし、昔からの考え方ではヒッチもコックもどちらも「悪い癖」として認識されていたのも事実です。

それが近年になって、打率やホームラン数をアップさせる秘訣として、改めて注目され始めたという経緯があります。

一体、ヒッチやコックとは具体的にどういった動作を指すのでしょうか?

今回は、野球のバッティングに必要なヒッチやコックといった細かな技術について深掘りしていきます。

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ヒッチとは何?

ヒッチとは、野球のバッティングの際に使われるグリップの動作のことです。

具体的には、トップを作るときにグリップを上下に軽く動かす動作のことを指します。

日本のプロ野球界で代表的なヒッチの使い手と言えば、MVP受賞歴もある丸佳浩選手です。

打席の中で細かく動きながらトップを作るフォームになるので、昔の日本の野球ではあまり推奨されていませんでした。

しかし、メジャーリーグではバリーボンズなどに代表されるホームランバッター達が、ヒッチを取り入れてスイングをしていたのです。

確実性もパワーも兼ね備えた強打者がヒッチを取り入れているのですから、それを「悪い癖」と捉えるのはどうでしょうか?

逆に近年では、ヒッチ動作が注目され始め、日本のプロ野球選手でも徐々に採用する選手が増えてきています。

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ヒッチのメリット

ヒッチは少し特殊な動作になりますが、取り入れることによって打撃がどのように変化していくのでしょうか?

ヒッチのメリットについて整理していきましょう。

  • スムーズにバットが出る
  • トップがしっかり決まる
  • タイミングが取りやすい
  • 鋭いスイングが出来る
  • 肩の開きを予防できる

スムーズにバットが出る

ヒッチ動画は、スイングを始動する直前にバットを上下に動かします。

この動画が入ることで、適度に筋肉の緊張が緩んでスムーズにバットを出すことが出来るのです。

どんなに筋力がある人でも、スイングの前から力が入りすぎていてはスムーズにバットが出てきません。

自然に自分の意図したタイミングでバットスイングを開始するには、ヒッチのように少し身体を動かした方が理にかなっているのです。

トップが決まる

バッティングでしっかりパワーを生み出すには、トップの位置をしっかり決めることが重要です。

トップが深い位置でしっかり作れていないと、バットが加速する距離を確保することが出来ません。

ヒッチの動作を取り入れてトップをしっかり決めることで、バットを上から降ろす位置エネルギーや加速する距離を確保することが出来るのです。

毎回トップの位置が安定すれば、ミートの確実性にも繋がります。

タイミングが取りやすい

どんなに速いスイングをしていても、投手のボールにタイミングが合っていなければ打てません。

タイミングの取り方は人それぞれですが、ヒッチ動作を入れることでタイミングを合わせやすくなります。

ピッチャーの投球フォームを見て、どこでヒッチを開始するか決めればタイミングが合ってくるわけです。

鋭いスイングが出来る

ヒッチを取り入れることで、スイングスピードを向上させられる可能性があります。

人間は、静止した状態からいきなり動き出すのでは、大きな力が発揮できません。

それよりも、軽く動きながら体をリラックスさせて準備した方が、瞬発的な力を発揮しやすいのです。

例えば垂直跳びをするときなど、いきなりジャンプするよりは、両腕を前後に振り上げながら膝を曲げてジャンプした方が高く飛べますよね。

ヒッチを行うことで、スイングの「助走」が出来るのです。

肩の開きを予防できる

ヒッチを行うことでトップがしっかり決まって打撃フォームが安定するので、肩の開きが予防できます。

肩の開きとは、主にピッチャー側にある前側の肩(右打者なら左肩、左打者なら右肩)のことです。

スイングからインパクトにもっていく瞬間に、前側の肩の開きが早すぎるとバットが出てきません。

その上、パワーがしっかりバットに伝わらないので、強い打球が打てないのです。

ヒッチでしっかりフォームを安定させれば、身体の捻りすぎを防げるので、結果的に肩の開きという悪い癖を予防できるわけですね。

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ヒッチのやり方

ヒッチの具体的なやり方を見ていきましょう。

  • ピッチャーの投球フォームに合わせる
  • 「1」でグリップを軽く下げる
  • 「2」でグリップを上げてトップを作る

バッティングでタイミングを合わせるときは、多くの選手が頭の中で「1・2・3」と数えながらタイミングを計っているはずです。

ヒッチの動作をどこで入れるかは投球フォームによって違ってきますが、「1」でグリップを下げて、「2」でトップを作るイメージで行うと良いでしょう。

ピッチャーが利き腕を最も後ろに下げたときに、「2」でトップが出来て準備が出来ているというのが理想的でしょうか。

ヒッチのコツ

ヒッチを習得するには、かなりの練習量が必要です。

がむしゃらに行うだけでなく、ヒッチを上手く行うコツについてもご紹介していきます。

  • 大きく動きすぎない
  • 早めに始動する
  • 割れをしっかり作る

大きく動きすぎない

ヒッチを行う際には、あまり動作が大きすぎるとかえってスイングに支障が出ます。

それは、目線がブレてしまうからです。

ヒッチの上下運動に気を取られすぎて、頭の位置も上下しているとボールを見る目がブレます。

その結果、ストライクゾーンとボールゾーンの判断も付きにくく、空振りも増えてしまうでしょう。

早めに始動する

ヒッチを取り入れるときには、思ったよりも少し早めに動作を開始しないと間に合いません。

ヒッチを入れることに集中しすぎると、動作が遅れて忙しいバッティングフォームになってしまいます。

ヒッチはあくまでもスイングの準備動作なので、ピッチャーの緩急にも対応できるように早めにトップを完成させておくべきです。

割れをしっかり作る

野球でよく言われる「割れ」とは、バッティングの踏み込み動作のことを言います。

右打者を例にとれば、打ちに行くときには左足を投手側に踏み込んでスイングするはずです。

このとき、上半身はキャッチャー側に残し、左足(下半身)だけをピッチャー側に移動させるという相反する動作をすることが望ましいと言えます。

この上半身と下半身の相反する動きのことを「割れ」と表現するわけです。

踏み込むときに上半身も一緒に前に突っ込んでしまうと、ボールの見極めも出来ませんし、ボールの体感速度も上がってしまいます。

ヒッチでしっかりトップを作ると同時に、踏み込む足だけピッチャー側に移動させる「割れ」を意識することで、力強い打球が打てるようになるでしょう。

言い換えれば、打ちに行くときにしっかり重心を後ろ脚に残すということですね。

ホーライスイング

ヒッチとコックを意識するうえで興味深い打法が「ホーライスイング」です。

蓬莱昭彦さんという元プロ野球選手で、ベイスターズでもコーチを務めた人物が開発した打ち方の理論となります。

要は、バットを寝かせてスイングに入り、インパクトの瞬間はバットのヘッドが手首よりも高い位置にあるようにするという打ち方です。

ヒッチとコックを組み合わせるべき

ヒッチというスキルを知ったならば、ぜひ「コック」も一緒に意識してみてください。

ヒットとコックは一緒に語られることが多く、どちらも長打を打つのに必要なテクニックであると言われています。

コックとは

ヒッチと同列で語れることが多い「コック」とは、手首を左右に曲げる動きのことです。

具体的には、トップを作る直前に一度手首を小指側に曲げ、打ちに行くときに親指側に曲げるという動きになります。

ヒッチとコックを組み合わせると、相乗効果があり、打率の向上や長打の増加に繋げることができるかもしれません。

コックを入れるメリット

ヒッチと共にコックを取り入れるメリットは3つあります。

  • スイングスピードが上がる
  • インサイドアウトでスイングできる
  • ヘッドがしっかり立つ

まず、ヒッチとコックを入れることで、スイングした際にヘッドが動く軌道が長くなります。

例えば走り幅跳びでは、ある程度の助走距離があった方が長い距離を飛べますよね?

それと同じで、スイングの際もヘッドが動く軌道が長いほどバットが加速できるわけです。

その分、スイングスピードはアップします。

さらにコックすることで体からバットが離れずにスイングできるので、インサイドアウトの理想的なスイング軌道を描くことができるわけです。

コックを入れることによって手首をしっかり使えるので、ミートの際にバットのヘッドが立ち、パワーを余すところなくボールに伝えることが出来るようになります。

バットのヘッドが立つということについては、下記の記事でも詳しく解説しているのでぜひ確認してみてください。

ヒッチとコックを使うプロ野球選手

ヒッチとコックを組み合わせて使っているプロ野球選手には、どんな選手がいるのでしょうか?

  • 丸佳浩選手
  • 山川穂高選手
  • 吉田正尚選手
  • 落合博満氏
  • バリーボンズ氏

主なヒッチとコックの使い手をまとめてみました。

やはり全選手に共通するのは、ホームランバッターであるということですね。

身体が大きいからホームランを量産できるというだけでなく、ヒッチとコックを駆使して理想的な力の伝え方をしているから長打が打てるわけです。

また、日米を代表する最強バッターがヒッチとコックを意図的に使っている選手だというのも興味深い点です。

日本で三度の三冠王を獲得した落合博満さんと、メジャーリーグで歴代最高のシーズン73本塁打を記録したバリーボンズさんはヒッチとコックで成功した代表例と言えます。

丸選手の覚醒もヒッチとコックに秘密があるという話が有名ですし、少しでも打撃で活躍したい方は取り組んでみる価値が大いにありますね。

ヒッチとコックの注意点

ヒッチとコックが素晴らしい打撃テクニックであることは理解できたと思いますが、誰でもすぐに実践できるわけではありません。

ヒッチとコックを取り入れる際の、注意点についてもまとめていきましょう。

  • タイミングを早めにとる
  • トップをしっかり決める

タイミングを早めに

今までヒッチもコックも意識せずにバッティングを行っていた方からすれば、ヒッチとコックは余分な動作を追加することになります。

新たな過程が加わるわけですから、今までよりも早めに始動してタイミングを取らなければなりません。

特にヒッチが遅れると、完全に振り遅れます。

振り遅れを取り戻そうとして肩が開いては本末転倒なので、タイミングを早めにとって自分のミートポイントでしっかり捉えられることが重要です。

トップをしっかり決める

ヒッチを入れても、しっかりトップが深い位置で決まっていないと意味がありません。

トップが浅すぎると、ミートに向かうまでにバットの加速する距離が短くなるのでパワーが落ちます。

トップを深い位置でしっかり作り、ピッチャーのボールを迎え入れる準備を早めに完成させておきましょう。

その方が、余裕を持ってボールを見極められます。

まとめ:ヒッチとコックで大打者に!

  • ヒッチはグリップの上下動作
  • コックは手首の左右の動き
  • スムーズにバットを出せるようになる
  • スイングスピードが向上する
  • タイミングを取りやすくなる
  • 早めに始動することが大切
  • トップをしっかり決めることが重要

 

いかがでしたか?

野球で徐々に浸透してきた、ヒッチやコックという技術についてご紹介してきました。

特にタイミングを取るのが苦手な選手や、長打を増やしたい打率をアップさせたい選手にはヒッチとコックがオススメです。

習得には練習が必要ですが、自分のものにできれば打撃が劇的に改善するでしょう。

ぜひ取り組んでみてくださいね!




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