
近年の野球が昔と大きく変わったことと言えば、投手の分業制です。
先発、中継ぎ、抑えと大きく3つに分けられた投手の役割があります。
その中でも「抑え」や「クローザー」と呼ばれる、試合の最終イニングを締めるピッチャーは、精神的な負担が格段に大きいと言われています。
そこで今回は、クローザーの役割や、クローザーを務めるために必要な能力について解説していきましょう。
クローザーとは
クローザーとは、「試合の最終イニングを締める投手」のことです。
通常であれば、9回の相手の攻撃に合わせて登板します。
先発投手が最後まで完投することをクローザーとは呼ばず、継投によって最後の1イニングだけを任されるポジションをクローザーと呼ぶのが通例です。
先発、中継ぎ、抑えと大きく3つに分けられる投手の役割のうち、中継ぎと抑えをまとめて「リリーフ」と呼びます。
そのリリーフの中でも、最後の1イニングだけをほぼ専門としているのがクローザーです。
絶対的なクローザーに対しては「守護神」という愛称がつけられることも多いでしょう。
最後の1イニングだけなのですが、そこを高い確率で抑えてくれるピッチャーがいるというのは、チームにとって非常に心強いです。
もし確実に最後の1回を0点で抑えられるなら、チームとしてはそれまでの8イニングをなんとかリードしている状態で繋げば、勝ちに結びつく可能性が高いですからね。
実際にプロ野球でも、リーグ優勝や日本シリーズを制するチームは、守護神と呼ばれるような絶対的な存在のクローザーがいるものです。
防御率でいえば、1点台前半や0点台を記録するほどのクローザーが君臨しています。
クローザーの役割
クローザーに求められる役割は「最後の1イニングを0点で抑える」ということです。
先発投手と違い、基本的に自責点や失点をゼロで終えることが求められています。
クローザーが、負けている展開や同点の展開で登板するケースは稀です。
ほとんど、僅差で勝っている状態で最終回を迎えたときに登板の機会が回ってきます。
最低限の仕事として、「勝った状態で試合を終える」という任務もありますね。
仮に最終回を3点リードで迎えてクローザーが登板したとして、2点までは取られてもOKなわけです。
結果的に勝てば、クローザーの役割としては果たせていますし、失敗とは言いません。
しかし、登板する度に失点している姿を見せたり、ランナーを何人も出してピンチを背負っている姿を見せたりすることが繰り返されると、ベンチからの信頼度は落ちます。
やはりクローザーの役割として求められる最高の仕事は、点差に関わらず最終回を危なげなく0点で切り抜けることなのです。
結果以上に、チームに安心感を与えられるような投手が、クローザーに適していると言えるでしょう。
クローザーに適性のある選手の特徴
投手には本格派、技巧派、軟投派など様々なタイプが存在しています。
クローザーに適しているのは、どのような投手なのでしょうか?
クローザーに必要な能力をまとめました。
- 平均以上に速いストレート
- 高い確率で空振りが奪える変化球
- 連投にも耐えられる体力や体の強さ
- 大ピンチでも自分の力が出せるメンタル
まず、クローザーの多くは速いストレートを持っています。
特にプロ野球チームでも「守護神」と呼ばれるような投手は、150㎞後半の直球を投げられる選手も多いです。
精密なコントロールで打たせて取るというよりも、圧倒的な球威で押していくスタイルの投手がクローザー向きと言えるのではないでしょうか。
その直球に加え、何か一球種でも、高い確率で空振りが奪える変化球があればベストです。
それも、フォークボールや縦のスライダーなど、落ちる系の変化球が望ましいと言えます。
クローザーに限らずリリーフ投手は、たった一本のヒットや内野ゴロでも失点してしまうようなピンチで登板することも多いです。
内野ゴロすら許したくない場面では、やはり奪三振能力が求められます。
そのためには、ウイニングショットとなる変化球が必須です。
また、連戦が続くようなリーグ戦では、2試合や3試合連続でクローザーの出番がやってくることもあります。
連投になったとしてもパフォーマンスを低下させないような、頑丈な身体を持っていることが第一条件とも言えるかもしれません。
そして何といっても、クローザーはピッチャーの中でも過酷なポジションです。
自分の投球内容がチームの勝敗に直結してしまう役割なので、その重圧を跳ね返せるだけのメンタルがないとやっていけません。
もし仮に救援失敗に終わったとしても、次の試合では何事もなかったかのように切り替えられる気持ちの強さも必要なのです。
クローザーのセーブ条件
クローザーの能力を簡単に表す指標として、防御率の他に「セーブ」という投手成績があります。
先発投手には「勝利数」、中継ぎ投手には「ホールド」という数値がありますが、クローザーが無事に仕事を終えることが出来た証は「セーブ」です。
このセーブがクローザーに付くためには、いくつか条件を満たしていなければなりません。
必須条件となるのが「最終回を投げること」と「先発投手で無いこと」です。
その他には、
- 3点差以内のリードで、1イニング以上登板する
- リードしている状況のまま、3イニング以上登板する
- 打者2人に本塁打を打たれたら、同点または逆転になる状況での登板
この3つのうち、いずれかの条件を満たすことでセーブが付きます。
3点差以内で1イニング以上
この形が最もオーソドックスなセーブの条件です。
9回まで3点差以内でチームが勝っていて、最終回の1イニングをクローザーに任せる形になります。
1点差でも2点差でも、3点差でも「1セーブ」が付くわけです。
ただ、もし一度でも同点に追いつかれてしまった場合は、次の回で勝ち越したとしてもその投手はセーブの権利を失います。
リードのまま3イニング以上
リードを保った状況のまま、3イニング以上投げて試合を締めくくった場合にもセーブがつきます。
最低でも、7回の先頭バッターから登板していなくてはなりません。
この場合には、点差は関係なく、たとえ10点差でも3イニング以上投げてリードを保ったまま勝つことができればセーブ成功です。
しかし、クローザーと呼ばれるような投手がこんなに長いイニングを投げることはほとんどありません。
打者2人に本塁打を打たれたら同点または逆転の場面
これは登板時の状況で、点差やランナーの状況によっても変わってきます。
例えば9回を迎えて5点差で勝っていた場合、先発投手が満塁の大ピンチを作ってクローザーにバトンタッチしたとしましょう。
もしこのクローザーが、最初に対峙したバッターに満塁ホームランを打たれ、続く打者にもソロホームランを打たれたら一気に5点入ってしまいます。
「打者2人に本塁打を打たれたら」というのはまさにこのような状況で、6点以上の差があった場合はセーブにはなりません。
これらの条件を満たし、セーブ数をたくさん稼ぐクローザーが、優秀なクローザーであると判断することが出来ます。
代表的なプロ野球のクローザー
プロ野球界にはいつの時代も、絶対的な守護神と位置付けられているクローザーが存在しています。
プロ野球のクローザー代表と言える、通算セーブ数上位5人を見てみましょう。
岩瀬仁紀(通算407セーブ)
中日ドラゴンズ一筋で、ただ一人NPB通算400セーブ以上を達成しているレジェンドクローザーです。
MAXスピードはそこまで速くないものの、圧倒的な切れ味のスライダーを武器に活躍しました。
更に、連投でも全く投球のクオリティが落ちない強靭な肉体を併せ持っており、長くクローザーとして活躍し続けた選手です。
高津臣吾(通算286セーブ)
ヤクルトスワローズやメジャーリーグ、現役晩年には韓国リーグでも守護神として活躍しました。
直球のキレもさることながら、魔球と称されるほどの「シンカー」を操り、サイドスローの独特な投球フォームも合わさって打つのが困難な投手です。
メジャーリーグでも27セーブ、韓国リーグでも2セーブを挙げています。
佐々木主浩(通算252セーブ)
横浜ベイスターズから、メジャーリーグのシアトルマリナーズに移籍してもクローザーとしての地位を確立した選手です。
「大魔神」とも呼ばれ、150㎞近いストレートと、異常な落差のフォークボールを武器にメジャーリーグでも129セーブを挙げています。
藤川球児(通算243セーブ)
阪神タイガースやメジャーリーグでも活躍し、なんといっても「火の玉ストレート」と呼ばれる直球が最大の武器でした。
スピードガンでも150超を記録していたのですが、それ以上に浮き上がるような球筋のストレートは、プロの打者が分かっていても空振りするほどの威力です。
デニスサファテ(通算234セーブ)
2010年代最強の守護神は、サファテ投手かもしれません。
シーズンセーブ数のパリーグ記録保持者で、160㎞近いストレートでガンガン押す投球スタイルです。
まさにクローザーの適正を持った、理想的な投手と言えます。
まとめ:クローザーの役割は勝つこと
クローザーは、「抑えて当たり前」と言われるような過酷なポジションです。
先発投手で防御率2点台であればかなり優秀ですが、クローザーで防御率2点台では安心して任せられません。
それだけシビアな役割なのです。
逆に絶対的なクローザーがいるチームは間違いなく強いので、特に現代野球ではクローザーの確立が重要なポイントになりますね。