野球を始めてから、試合中のルールを細かい部分まで教えてもらう機会というのは意外と少ないものです。
そして、野球場の中で、多くの方が意外とその存在意義やルールをよく分かっていない場所があります。
それが「ネクストバッターズサークル」です。
ネクストバッターズサークルは、野球の試合が行われている球場には必ず設置されています。
次のバッターが自分の打席を待つときに使うゾーンですが、そんなネクストバッターズサークルには細かなルールがあるのです。
そこで今回は、ネクストバッターズサークルの正式なルールや有意義な使い方について紹介していきます。
ネクストバッターズサークルとは
野球のネクストバッターズサークルとは、各球場に必ず設置されている円形のゾーンです。
各チーム一つずつあり、1塁側と3塁側にそれぞれ設置されています。
野球場ではもちろんですが、中学や高校野球で学校のグラウンドで試合を行う場合も、必ずネクストバッターズサークルが決められます。
ネクストバッターズサークルに関して多くの人が理解していることとすれば、
「次のバッターが待っている場所」
「素振りなどをして良い場所」
くらいの認識ではないでしょうか。
ネクストバッターズサークルについて、野球を始めたころに詳細に説明される機会なんてほとんどないはずです。
今までネクストバッターズサークルを深く考えたことがありますか?
ネクストバッターズサークルは思いのほか大切な場所なのですが、その有意義な使い方や正しいルールを把握している方は少ないというわけです。
ネクストバッターズサークルに関するルール
ネクストバッターズサークルは、細かなルールがいくつか決められています。
ルールを犯すことでただちにアウトが加算されたり、攻撃側に不利なペナルティが与えられたりするわけではありませんが、守らないといけないルールです。
- ベンチとバッターボックス間に必ず一つ
- 大きさは直径5フィート
- 2本のバットを持ち込んでOK
- インプレーの打球や野手に触れると守備妨害
各チームに必ず一つ設置
ネクストバッターズサークルは、各チーム専用のものが必ず一つずつ設置されます。
位置も決まっており、各ベンチとバッターボックスの間です。
攻撃時のみ、各チームに与えられた専用のネクストバッターズサークルを使用します。
基本的には次のバッターを待機させる場所です。
大きさは直径5フィート
ネクストバッターズサークルは、大きさも決まっています。
直径5フィートが規定ですが、1フィートが30.48センチメートルなので、直径約150センチの円形ですね。
野球場などでは、常時ネクストバッターズサークルの円が設置されているところも多いでしょう。
学校のグラウンドなどでは、自分たちで石灰などを使ってネクストバッターズサークルを作らなければなりません。
円が小さい分には特に問題にはならないはずですが、意図的にあまり大きなネクストバッターズサークルを作るのはルール違反ないし、マナー違反ということですね。
検定バットを2本持ち込める
ネクストバッターズサークルには、バットを2本まで持ち込めます。
そのため、ネクストバッターズサークルにマスコットバットなど、通常の試合で使うバットよりも重めのバットを置いているチームも多いでしょう。
その他、ロジンバッグや滑り止めのスプレーなどを置いている場面も、プロ野球ではよく見受けられます。
ネクストバッターズサークルに持ち込める物の制限に、他に明確なルールは無いと言っていいでしょう。
守備妨害の規定もある
ネクストバッターズサークルに選手が待機している場合、気を付けないと守備妨害になってしまう可能性もあります。
ケースとしては、
- インプレー中のボールに触れてしまった場合
- ボールを追ってくる野手に接触した場合
という場面が考えられますね。
本塁への悪送球や、ワイルドピッチやパスボールなどプレー続行中のボールに対して、意図的に触れることは守備妨害にあたるのです。
また、インプレーのボールを追ってきた野手を避けずに接触してしまうのも、守備妨害になります。
守備側が故意にぶつかってきたときは適応外ですが、審判の判断によって守備妨害かどうかが決まりますから、避ける動作は必要ですね。
ネクストバッターズサークルでの過ごし方
ネクストバッターズサークルは自分の次の打席を待つ場所ですが、ただ待っているだけでは有意義な時間とは言えません。
ネクストバッターズサークルでは、どういった準備をして過ごせば良いのでしょうか?
- ピッチャーのタイミングを合わせる
- 身体と心の準備
- ランナーへの指示
ピッチャーのタイミングを合わせる
ネクストバッターズサークルでやっておくべきことの一つは、ピッチャーのタイミングを合わせることです。
バッティングで最も大切なのはタイミングですから、打席以外で最も近い場所でピッチャーの投球を見られるネクストバッターズサークルを有効に活用しましょう。
ピッチャーの投球モーションに合わせて、足を上げるタイミングや降ろすタイミング、どこでトップを作ればミートできるのかイメージします。
ネクストバッターズサークルは打席と同じような角度でボールを見られるので、実際に打席に入ったときのギャップも少ない形でタイミングが合わせられるでしょう。
身体と心の準備
ネクストバッターズサークルでは、素振りなどをしながら身体と心の準備も行います。
一般的に重いマスコットバットを使って素振りする選手が多いと思いますが、実はそれが逆効果になっていることもあります。
おそらくマスコットバットなど重いバットを振る目的としては、普通の試合用のバットを持った時に軽く感じられるようにということですよね。
しかし、速いスイングスピードを求めるなら、速く身体を動かすための筋肉を刺激しなければなりません。
マスコットバットでは、かえって筋肉に負荷をかけるだけになってしまうこともあるのです。
打席で最大限鋭いスイングをするという目的ならば、普段よりも軽いバットでビュンビュン素振りをした方が効果的というデータがあります。
素早く身体を動かすということに、筋肉を慣れさせるという意味合いでも、ネクストバッターズサークルで軽いバットを使うというのは効果がありそうです。
ランナーへの指示
ネクストバッターズサークルでは、ホームに向かって走ってくるランナーに指示を出す役割もあります。
1塁や3塁にはベースコーチがいるはずですが、本塁ではその役目をネクストバッターズサークルの選手が行いましょう。
走っているランナーは、野手の動きが見えないことがあります。
ボールがキャッチャーに返ってきているかどうかがわかりませんし、スライディングの必要性や方向を指示して上げるべきです。
指示があれば、際どいタイミングでもタッチをかいくぐって生還できるかもしれません。
ネクストバッターズサークルの暗黙のルール
ネクストバッターズサークルでは、基本的に素振りなどをして待機していることが多いはずです。
しかし、地域や学年によってはネクストバッターズサークルでの振る舞いに暗黙のルールがある場合もあります。
- しゃがんで待っていなければならない
- 必ず次の打者を待機させなければならない
しゃがんで待つ
少年野球で多い風潮で、ネクストバッターズサークルの選手は膝をついてしゃがんだ体勢で待っています。
これはおそらく、試合を行うグラウンドの面積の都合もあるでしょう。
通常の野球場のように、ホームベースと各ベンチの距離が十分に確保できない場所もあります。
学校のグラウンドなどで行う場合、それは仕方ありません。
バッターボックスから近い位置でネクストバッターズサークルが設置されることになるので、立っていると監督やベンチとバッターの間で邪魔になってしまいます。
また、投球するピッチャーにとって投げにくい理由になってしまうこともあるでしょう。
立地条件などによっては、ネクストバッターズサークルでは座っていることが求められる場合もあるのです。
必ず次の打者を待機させる
プロ野球などでは、ネクストバッターズサークルに一時的に違う選手を待機させる場合もあります。
これによって、相手のピッチャー交代を誘導するような作戦が取られることもあるのです。
例えば、ネクストバッターズサークルに左打者でホームランを打てる代打の切り札を待機させておいて、相手が左ピッチャーに交代してきたとします。
攻撃側はそれを確認して、あえて別の右打者を代打に送るということも稀にあるのです。
ただこれはプロ野球以外ではあまり見ない戦法ですし、時間も無駄にかかるのでオススメは出来ません。
基本的には、次の打者を必ず待機させておくというのがマナーでもありますよね。
次の打者がピッチャーで、ツーアウトの場面などでは、キャッチボールなどの都合で一時的に控えの野手がネクストバッターズサークルに入ることはあるかもしれません。
まとめ:ネクストバッターズサークルを有効に使おう!
- ネクストバッターズサークルの大きさは5フィート
- 2本のバットを持ち込んで良い
- 守備妨害に気を付ける
- ピッチャーのタイミングを合わせる時間にする
- 素振りなどでウォーミングアップをしておく
- ホームに得点しようとしているランナーのコーチ役になる
- 軽いバットで力いっぱい素振りした方が良いかも
ネクストバッターズサークルは、野球の試合では必ず設置されるのに、あまり詳しいことは語られない特殊な場所です。
しかし、ネクストバッターズサークルを有効に使うことで、打率をアップさせることに繋がるかもしれません。
ただなんとなく自分の打席を待っているだけでなく、相手ピッチャーを攻略するための準備をする場所として、有効活用したいものですね。