でも、サイドスローといっても、ちゃんとどんなもんか知っとかな難しいぞ〜。
サイドスローは、野球におけるピッチャーの投げ方の中でも珍しい部類です。
基本的にはオーバースローやスリークォーターで投げるピッチャーの方が多いので、サイドスローというだけで希少性も高まります。
腕が横から出てくるわけですから、繰り出される変化球も他の投げ方とは一味違ったものになるでしょう。
そこで今回は、サイドスローについて
- 投げられる変化球にはどんなものがあるか
- 握り方
- メリット
- デメリット
- 曲がらない時の対処法
- 練習の注意点
- 右OR左
などを紹介していきます。
それぞれの変化球の投げ方はもちろん、サイドスローの利点を最大限活かすためのポイントもまとめてみました。
サイドスローの変化球の特徴
横投げってことやろ?
まずは、サイドスロー投手が使う変化球の主な特徴からみていこう。
サイドスローの変化球は、
- 横の変化球が中心になる
- 縦に落ちる変化球は投げにくい
- バックドアとフロントドアが使いやすい
- ストレートがナチュラル変化する場合も
詳しく説明していくわ。
横の変化球が中心になる
サイドスローの変化球は、基本的に横の変化が中心になります。
スライダーに代表されるように、打者目線だと横に滑るようなイメージです。
もちろん重力がありますから、ゲームのように真横に変化するわけではありません。
それでもサイドスローの変化球の場合は、そう錯覚させるくらいの威力を持つこともあるでしょう。
縦に落ちる変化球は投げにくい
反対に、フォークなど縦方向に鋭く変化する変化球は投げにくい傾向があります。
落ちる変化球はボールに縦方向のスピンを加えないといけないので、腕が横から出てくるサイドスローでは投げにくいのです。
バックドアとフロントドアが使いやすい
- バックドアとは・・・、打者から見ると、アウトコースのボールゾーンから外角のストライクに入ってくるボール
- フロントドアとは・・・、打者から見ると、インコースのボールゾーンから内角のストライクに入ってくるボール
これらの配球術は、メジャーリーグで活躍した黒田博樹投手の存在によって、日本でも広く知られるようになりました。
バックドアは打者にとって、バットが届かないボールと判断してしまうような球で、フロントドアはデッドボールになりそうな恐怖心すら与えます。
サイドスローの場合は横の変化球が投げやすいので、このバックドアとフロントドアの配球も効果的に使いやすいです。
ストレートがナチュラル変化する場合も
サイドスローの場合は、腰と下半身の横回転で投げることになります。
そのため、手首や肘をそのまま素直に振りぬくだけで、ナチュラルにシュート回転する場合もあるでしょう。
硬式よりも、軟式の方がナチュラルシュートの変化は顕著に出やすいです。
このシュート回転がマイナスに作用する場合もありますが、自分が投げるボールがシュート回転しているという認識があれば、上手く活かしてプラスに出来る場合もあります。
サイドスローと相性の良い変化球の握り方
早速サイドスローに挑戦したい!
そこを知っとかないかん。
ここでご紹介する変化球は、6種類です。
- スライダー
- シンカー
- シュート
- カーブ
- チェンジアップ
- スラーブ
スライダー
スライダーは、サイドスローで投げられる変化球の王道と言えます。
ピッチャーの利き腕とは逆の方向に曲がる変化球で、サイドスローの場合は変化量も大きくなりやすいです。
- 人差し指と中指を揃える
- 揃えた指を少し外側にずらす
- 中指は縫い目にかける
ストレートに近い握り方から、人差し指と中指を揃えて小指方向にずらすような形になります。
基本的には、ストレートに近い球速で投げたい変化球なので、ストレートのような感覚で腕を振りぬきます。
リリースの際には中指でボールを押し出して回転をかけることで、変化量も大きくなるでしょう。
スライダーの効果的な使い方
サイドスローから投げるスライダーは、変化も大きくなります。
そのため、奪三振を狙うときの決め球に使用できる変化球です。
サイドスローピッチャーが得意球になりやすい変化球でもあるので、最初に投げておいて意識させ、あえてストレートで攻めるという残像を利用した配球にも利用できるでしょう。
シンカー
シンカーは、利き腕の方向に曲がりながら沈んでいく変化球です。
サイドスローでシンカーをマスターすれば、変化量も大きく強力な武器になるでしょう。
プロ野球でも、元ヤクルトスワローズの高津臣吾さんや、元西武ライオンズの塩崎哲也さんなど、サイドスローから繰り出すシンカーで大活躍した投手もいます。
- 人差し指も中指も両方縫い目にかける
- 薬指をかなり開いたところに置く
- 親指は下に置く
- 中指と薬指でボールを挟むイメージ
シンカー自体が習得の難易度が高い変化球ですが、その中ではサイドスローの方が比較的投げやすいです。
それでもリリースの際に中指と薬指の間からボールを抜くような感覚になるため、すぐに試合で使えるレベルに持っていくのは難しいでしょう。
ボールの上をなでるようなイメージでリリースするので、コントロールもしにくいです。
それでも上手く投げられれば、サイドスローのシンカーはかなり大きく変化します。
シンカーの効果的な使い方
サイドスローピッチャーがシンカーをモノに出来れば、間違いなくウイニングショットになります。
絶対に空振りが欲しいときなど、ストライクゾーンの中で勝負できる球になるでしょう。
サイドスローのシンカーは「魔球」と称されることもあるくらいなので、サイドスローの投手はぜひ習得にチャレンジしてみてください。
シュート
シュートは、利き腕の方向に滑るように曲がる変化球です。
ストレートとの球速差もあまり無いため、バットの芯を外す変化球として有効に使えます。
サイドスロー投手の変化球としても一般的です。
- 人差し指と中指を縫い目に平行にかける
- 縫い目を少し親指側にずらす
- 浅めに握る
縫い目が狭くなっている部分に、人差し指と中指をかけます。
その際に、縫い目と指が平行になるようにかけましょう。
そこから、縫い目が親指側にずれるように、少し指の位置を調節します。
リリースの際はシュートさせようと無理に腕や肘を捻る必要はありません。
リリースの瞬間に手のひらがバッター側を向くようにして、そのまま振りぬくだけです。
浅めに握ることで、ストレートに近いスピードで投げることが出来ます。
シュートの効果的な使い方
サイドスローのシュートは変化量も大きくなりやすいので、決め球に使うことも出来ます。
基本的にはバッターの芯を外す役割が大きいので、ゴロを打たせたいときに役立つはずです。
右投手の場合、右バッターのバックドア、左バッターのフロントドアとして使えばかなり効果的でしょう。
カーブ
カーブは、利き腕と逆方向に緩く沈んでいく変化球です。
全ての変化球の中で、最もポピュラーと言っても良いでしょう。
サイドスローでカーブを投げる場合は、一度浮き上がってから沈んでいくような独特な軌道になります。
いわゆるスローカーブとして使うことも出来るでしょう。
ただ、サイドスローのカーブは少し投げ方にコツが必要なので、上手くいかないと変化量の少ないスライダーのようになってしまいます。
- 人差し指と中指を揃える
- 人差し指を縫い目にかける
- 親指も人差し指の対角線上の縫い目にかける
スライダーに近い握り方になりますが、縫い目にかける指は人差し指と親指にするのがオススメです。
対角線上で縫い目に引っ掛けることで、カーブに必要な縦方向の回転も加えやすくなります。
リリースの際に無理に腕を捻るのではなく、手首を立てたまま腕を振る勢いだけでリリースした方が曲がりやすいです。
カーブを曲げようと腕や手首を捻ってしまうと、かえってスピンの少ない緩いボールになってしまいます。
少し浅めに握り、人差し指と中指を滑らせて抜くようなイメージで投げると良いでしょう。
カーブの効果的な使い方
サイドスローのカーブはどちらかというと緩い変化球になります。
そのため、一番の目的は打者のタイミングを外すことです。
一度浮き上がってから沈むような軌道になるので、目線もかなり上下させることが出来るでしょう。
カウントを稼ぐボールとしてカーブを使い、ストレートや他の決め球を結果球にするような配球が効果的です。
右投手の場合は左打者(左投手の場合は右打者)に対して多用しすぎると、低めのカーブをすくいあげられて、大飛球を打たれやすいというリスクもあるので注意してください。
チェンジアップ
チェンジアップは、ストレートのような腕の振りで投げる変化球ですが、回転が少ないため打者方向に向かう過程でスピードが減速していきます。
サイドスローでもチェンジアップは投げられ、比較的肘や肩の負担が少ない変化球です。
- 縫い目には指をかけない
- 指を「OK」の形にする
- 小指と薬指はOKサインの逆側を支える
- 中指は浮かせる
縫い目に指をかけないようにすることで、回転量を抑えます。
親指&人差し指、小指&中指の組み合わせで両側からボールを挟むように握りましょう。
中指は、浮かせて使わないくらいのイメージでいた方が良いです。
リリースの際は、ストレートと同じように腕を振ります。
球速を抑えようとして腕の振りを緩くしてしまうとチェンジアップの意味がありません。
握り方だけ変えて、ストレートを投げるような感覚の方が効果的でしょう。
チェンジアップの効果的な使い方
サイドスローの場合は、チェンジアップが少しシュート回転しやすい傾向もあります。
そのためシンカーのような使い方で、決め球として使用することも可能です。
変化量としては小さいので、バッターのタイミングを外して力のないフライを打たせたいときに使えるでしょう。
先発投手として球数を少なく抑えたいときや、サイドスローの変化球でかかりやすい肘の負担を軽減したい場合もチェンジアップは有効です。
スラーブ
スラーブは、スライダーとカーブの中間のような変化球です。
オーバースローやスリークォーターの投手でスラーブを投げる選手はあまりおらず、サイドスローの独特な変化球とも言えます。
- 人差し指と中指を揃える
- 人差し指だけ縫い目にかける
- 中指は縫い目の外に出す
- 浅めにボールを握る
カーブの場合は、親指も縫い目にかけて縦回転のスピン量を増やしますが、スラーブは速球に近いカーブのイメージで投げたいので親指は縫い目にかけないのがオススメです。
リリースの際は手首を立てたまま、ストレートと同じように腕を思いっきり振りぬきます。
人差し指でボールに横方向の回転をかけ、立てた手首の角度によって縦方向の回転が加わるイメージです。
スラーブの効果的な使い方
サイドスローの独特な変化球であるスラーブは、バッターもあまり対峙したことが無いでしょう。
右投手の場合は、左バッターのインコースに食い込むような角度で投げ込むのが効果的です。
デッドボールになってしまうのを怖がらず、左バッターの懐めがけて投げられれば、その後はアウトコースが使いやすくなるでしょう。
サイドスローって、見た目のかっこよさだけかと思っとったわ。
サイドスローは、投手によってはそっちの方がうまく投げやすいって感じで、メリットもあるんだな。
サイドスローのメリット
野球を始めた当初からサイドスローで投げているというピッチャーはおそらく少数で、ほとんどが途中からサイドスローに転向したケースでしょう。
なぜサイドスローに転向した方が上手くいくケースがあるのか、サイドスローのメリットは・・・
- 投球に角度がつけられる
- 横の変化球の曲がりが大きくなる
- コントロールをつけやすい
- 肩の負担を軽減できる
投球に角度がつけられる
サイドスローは腕を横から出すわけですから、マウンドからホームベースまでの短い距離の中で角度をつけられます。
サイドスローで普通にストレートを投げているだけでも、バッターからすればボールが逃げていく、または向かってくる感覚に陥るでしょう。
しっかりコースを狙って投げられれば、変化球を多投しなくても優位に試合を進められます。
横の変化球の曲がりが大きくなる
サイドスローは身体の横回転で投げることが基本となるため、ボールに対しても横回転のスピンを与えやすいという特徴があります。
そのため、スライダーやシュートなど横の変化球では曲がりが大きくなることが多いです。
そもそもサイドスローで角度のあるボールが投げられる上に横の曲がりが大きくなれば、バッターの目線はかなり揺さぶられます。
ストライクになるボールに対して避けるような動作になったり、アウトコースのボールが普段よりも遠く感じさせられるかもしれません。
日本のバッターが弱いとされる、バックドアやフロントドアの配球も威力を増します。
コントロールをつけやすい
サイドスローにして腕の位置を下げた方が、肩甲骨も無理なく稼働できるため、制球が定まりやすいというメリットもあります。
投球の度に毎回同じ動作を繰り返せるという再現性が高いので、コントロールも安定しやすいのです。
オーバースローで無理に腕を上げて投げていると、肩甲骨に負担がかかり、だんだん腕の振り方にずれが出てくることもあるのです。
肩の負担を軽減できる
サイドスローの方が肩甲骨の動きを制限しにくいので、肩関節にかかる負担を少なくできます。
肩を故障した経験のある投手が、サイドスローに転向するというケースもあるくらいです。
サイドスローで変化球を投げようとしたときに、必要以上に腕や手首を捻ると肘の負担が増えるので、そこは注意したいところですね。
サイドスローのデメリット
やっぱぼくも、サイドスローのがいいかも。
オーバースローと比べてサイドスローピッチャーの方が全体の数が少ないということは、そこにデメリットが隠されているという裏付けでもあります。
サイドスローには、
- 休息が出にくい
- 落ちる変化球が投げにくい
- 腰の負担が大きくなる
というデメリットがあるので、詳しく見ていきましょう。
球速が出にくい
オーバースローは、上から腕を振り下ろすイメージなので、重力も味方にできます。
一方でサイドスローは横回転なので、自分の筋力や反動が頼みになります。
そのため球速が出にくいという傾向があるのです。
しかし、一概にサイドスローの方が球が遅くなると決定づけることは出来ません。
腰や下半身の力をしっかりボールに伝えられれば、オーバースローと同等の球速が出るようになります。
落ちる変化球が投げにくい
サイドスローの特性上、ボールに対して縦回転のスピンはかけにくいわけです。
手首を曲げた状態で投げたりと、特殊な使い方をしなければならないので、落ちる変化球は投げにくいと言えます。
その分は横回転の変化球や、シンカーやチェンジアップなど沈む系の変化球を習得してカバーしましょう。
腰の負担が大きくなる
サイドスローは腰の横回転でボールに勢いをつける形になるので、腰の負担が大きくなります。
腰から背中にかけての筋肉に大きな負担がかかるので、投球前後の身体のケアが重要です。
普段から椅子に座るときなど、骨盤が後ろに傾いて背中が丸くならないように意識しておくと良いでしょう。
サイドスローで変化球が曲がらないときの対策
サイドスローに途中から転向した場合、今までのような変化球が投げられなくなる可能性もあります。
変化球を投げること自体が難しく、試合で使えるレベルになかなか向上しないかもしれません。
もちろん何度も繰り返して練習することが大切ですが、
- 握り方を変える
- インステップにしてみる
ということも、対策としていいでしょう。
握り方を変える
同じ変化球でも、選手によって握り方は若干違うものなのです。
何度か投げてみて思うように変化しなかった場合は、握りの深さを変えてみたり、縫い目にかける指をずらしたりして調節してみてください。
親指を縫い目にかけるかかけないかという違いだけでも、大きく変化する場合もあるのです。
インステップにしてみる
サイドスローで変化球が思うように投げられなかったら、思い切ってステップする方向を変えてしまうのも一つの手です。
インステップといって、投球の際に踏み出す足の位置を変えてみるのです。
右投手なら左足をサードベース寄りの方向に、左投手なら右足をファーストベース寄りの方向に、踏み出す位置をずらしてみましょう。
それだけで、かなりボールに角度が付くので、実際の変化量を補うことが出来ます。
変化球自体は小さな変化であっても、ボールの出どころが変わるだけでバッターから見たときの目線は全く違うものになるです。
練習開始しよ!
注意点もちゃんと知った上で、練習や。
サイドスローで変化球練習を行う際の注意点
サイドスローで変化球の練習を行う際には、いくつかの点に注意しないと怪我を招いたり投球の質を低下させたりする危険性があります。
- 無理に腕や手首を捻らない
- ストレートも織り交ぜる
- 身体の開きが早くならないように
以上の3つです。
サイドスローの変化球は、無理に腕や手首を捻らなくても、握り方と手首の形でそのままリリースすれば回転がかかるものが多いです。
そこで「たくさん曲げてやろう」という気持ちが強すぎて無理に腕を捻ってしまうと、思わぬケガに繋がる恐れもあります。
また、変化球ばかり投げ続けていると、腕の振りが自然と緩くなってしまうこともあるでしょう。
合間にストレートの投球を織り交ぜながら、強い腕の振りを基本として変化球を習得していくべきです。
「身体の開きが早くなってしまう」
ということです。
サイドスローで変化球を練習していると、腕の振り方や手首の角度にばかり意識がいきがちです。
それでグローブをはめている方の肩が早く開きすぎて、早いタイミングで胸がキャッチャー方向を向いてしまうと、球威そのものが落ちてしまいます。
ボール全体の質を落とさないためにも、まずは強いストレートを投げられる形を身に着けてから、変化球を練習するのが良いでしょう。
右サイドスローより左の方が希少価値が高い
投手全体で見れば、右投手より左投手の方が少ないです。
さらに、オーバースローやスリークォーターよりも、サイドスローで投げているピッチャーは少ないと言えます。
ということは、この二つの「少ない」という要素が組み合わさった、「左投げのサイドスロー投手」はかなり希少価値が高いということになりますよね。
バッターからすると、投げ方が独特なだけでかなり嫌な存在です。
ボールの質がそれほど高くなくても、珍しい投げ方をするピッチャーに対してはタイミングも取りにくくなります。
それだけで、ヒットの確立は大幅に下がるでしょう。
左のサイドスロー投手が少ないのは、何か左投手特有のデメリットがあるわけではなく、単に全体数が少ないというだけです。
まとめ:サイドスローの変化球は曲がりやすい
サイドスローの変化球は、基本的に横回転との相性が良いです。
スライダーやシュートを投球の軸にして、魔球シンカーを決め球に出来ればかなり手ごわいピッチャーになれるでしょう。
しっかり練習すれば、サイドスローのデメリットは極限まで小さくできるので、ぜひ希望を持って練習に励みましょう!
変化球の握り方と手首の形さえコツが掴めれば、意外と大きな変化球をすぐに投げられてしまうかもしれませんよ。