野球界でよく聞く言葉の一つに「バッピ」があります。
野球を始めたばかりの人がいきなり「バッピ」なんて言われても何のことかわかりませんよね?
「バッピ」は「バッティングピッチャー」の略で、打撃練習の時によく使われるキーワードです。
今回はそんなバッピについて、意味やコツなどを紹介していきます。
バッピとは
バッピの意味は、「バッティングピッチャー」です。
ただ、バッピ及びバッティングピッチャーはあくまで和製英語であり、「batting practice pitcher」が正しい表現になります。
多くはフリーバッティングなどのバッティング練習の際に、投手役を担って打者にボールを投げ込む役割の人を「バッピ」(バッティングピッチャー)と言うのです。
もし野球の練習中に監督やチームメイトに、「バッピやってくれ」と言われたら、「フリーバッティング(及びその他の打撃練習)をしたいから、投手をやってくれないか?」と頼まれているのと同じになります。
高校野球でも、最近はほとんどの高校でバッティング(ピッチング)マシーンと言って、バッティングセンターにあるようなボールを投げる機械が置いてあるはずです。
マシンを使って行うバッティング練習を、「マシン打撃」と言いますが、バッピに投げてもらうボールを打つのとは質が異なります。
打者目線からすれば、実際の人間の投球フォームに合わせてタイミングを取るのと、バッティングマシンにタイミングを取るのとでは全く打撃が異なるのです。
バッピとマシンどっちで練習するべき?
バッティングマシンの長所は、
- 何球投げても同じような球筋を再現できる
- 人の肩を消耗しなくて済む
- 一人でも練習できる
という点がありますが、より実践に近いのはやはり生身のバッピ(打撃投手)に投げてもらう方でしょう。
打撃練習におけるバッピが投げるメリットとしては
- タイミングを合わせる練習になる
- 試合のように、ボールを見極める練習になる
- より実践に近い感覚で打撃が出来る
というポイントがあります。
人によっては、「バッティングマシンで打つボールは意味がない」という人さえいるくらいです。
ですから、打者のスキルアップという観点で言えば、可能な限りバッピに登板してもらって打撃練習を行う方が成長しやすいと言えますね。
バッピに必要なスキルやコツ
バッピをあまりやったことがない人からすれば、「8割くらいで投げれば簡単にストライクを投げられるだろう」と思うかもしれません。
しかしやってみると、意外とバッピは難しいということにすぐ気が付くはずです。
バッティングピッチャーの役割は、「バッターの打撃力向上」にあります。
例外的に、プロ野球のキャンプで現役の選手が練習の一環として打撃投手を務めることもありますが、基本的にバッティングピッチャーの役目はバッターの育成なのです。
そんなバッピに必要なスキルは
- コントロールが良い
- スタミナがある
この2つです。
特に重要なのはコントロールの良さで、基本的にストライクゾーンに投げられる制球力が必須になります。
ボール球が先行しすぎてしまうような投手だと、バッターの見逃しが多くなって練習時間が無駄に伸びてしまいます。
また、バッターが練習したいと思う球種やコースに正確に投げられなければ、意図のある練習が出来ませんからね。
打撃練習中は、あえて打者の苦手コースに投げることもあれば、得意コースに集中して自信を取り戻させるというミッションも発生します。
その切り替えができるのも、バッピにコントロールが備わっていてこそなのです。
また、バッピは多くの打者を相手に連続して投球し続けなければなりません。
プロ野球の練習などでは、場合によっては200球以上投げなければいけないケースもあります。
その連投に耐えられるスタミナも、バッティングピッチャーには求められる能力というわけですね。
バッピでの注意点
バッピを自ら行う際には、通常の練習メニューとは少し違う注意点を守らなければなりません。
- ケガに注意する
- 現役選手並みの身体のケア
まずバッピで多いのが、打球が身体や頭に当たることによる怪我です。
通常ほとんどの場合では、L字型のネットをマウンドとバッターボックスの間に置き、その後ろからバッティングピッチャーが投げる形になります。
そのため、投げ終わった後にしっかりネットの後ろに隠れることで、ピッチャー返しなどの打球を回避することが可能です。
通常のマウンドからの距離(18.44メートル)よりも近い距離で投げ、速球対策を行うケースもあるので、バッピは注意が必要になります。
場合によっては、バッピ用のヘッドギアやヘルメットを装着して、頭部を保護することも考えておきましょう。
また、バッピは投球数が多くなります。
1日の投球数で言えば、通常のピッチャーが行うブルペンでの投げ込み練習よりも多くなってしまうかもしれません。
プロ野球であれば専門の打撃投手がいますが、アマチュア野球では野手がバッピを行うことも多いです。
打撃や守備とは使う筋肉が違うので、アイシングやストレッチなどのケアを入念に行って、疲れを残さない対策が重要になります。
プロ野球のバッティングピッチャーの年収
プロ野球のバッピ(バッティングピッチャー)は、専門的な存在の方が各球団にいらっしゃいます。
バッティングピッチャーのみを行うのではなく、実際は用具係などの仕事も兼務していることも多いでしょう。
その年収体系は、500万円~800万円が相場となっています。
ほぼ全員が元プロ野球選手であり、中にはプロのローテーションで何年も投げて、二桁勝利を複数回記録しているような一線級の投手だった人物もいます。
例えば、読売ジャイアンツや横浜ベイスターズで活躍した入来祐作さんや、西武ライオンズや福岡ソフトバンクホークスで活躍した帆足和幸さんなどが代表的です。
入来さんは最高勝率のタイトルを獲得したこともありますし、帆足さんは西武ライオンズファンには「左のエース」としての記憶があるでしょう。
そのような人物が選手からバッティングピッチャーに転身し、質の良い練習を作り出しているという環境は素晴らしいですね。
まとめ:バッピは意外と難しい
野球のバッピはただ投げるだけでは成り立ちません。
高い確率でストライクが取れるコントロールは前提として、打者の要求や練習の意図を崩さないように投げなければいけないのです。
逆にバッターはそんな奥が深いバッピを務めてくれる方に感謝して、一球一球を無駄にしないで大切に練習していきたいものですね。