野球の守備位置で、専用のグローブが指定されているのはキャッチャーミットとファーストミットだけです。
その中でもキャッチャーミットは、しっかり型付けをしないとピッチャーの投球をポロポロ弾いてミスをしてしまいます。
投球以外でも、バックホームの返球をしっかり捕球できなければ、直ちに一点を失ってしまう重要なポジションでもあるわけです。
そこで今回は、キャッチャーミットの型付け方法について解説していきましょう。
キャッチャーミットのタイプ別の型付け方法や、買ったばかりの新品のキャッチャーミットの慣らし方などについてもご紹介していきます。
キャッチャーミットの型付け方法
まず、キャッチャーミットは大きく2つのタイプに分けることが出来ます。
- スタンダードタイプ
- ボックスタイプ
購入する前の段階で、キャッチャーミットが二つのタイプに分類されるわけではありません。
同じキャッチャーミットを買ったとしても、その後の型付け方法やボールの捕り方によって、スタンダードタイプとボックスタイプに分けられます。
どちらも、ボールを捕球面に挟んでバンドなどで固定するやり方が一般的です。
たまにグローブを手にはめて、ボールを自分で投げ入れて捕球面の皮に当てるのも良いでしょう。
自分の拳で捕球面を叩きながら、グローブの皮の柔らかさを出していくことも必要です。
スタンダードタイプ
キャッチャーミットのスタンダードタイプとは、いわゆる「横型」と言われるタイプです。
キャッチャーミットを横に広く使い、中の指の形のイメージはこんな感じになります。
捕球する瞬間に、親指を上に閉じるようなキャッチングを行うのが特徴です。
プロ野球選手では、球界最高の捕手との呼び声も高い古田敦也さんがこの捕り方をしていました。
キャッチャーミット自体の特徴で言うと、ボールが収まる「ポケット」と呼ばれる深い部分が親指のすぐ内側になります。
この後解説するボックスタイプのキャッチャーミットに比べてポケットが浅くなるので、キャッチング技術が高くないとボールを弾いてしまう回数も増えるでしょう。
その分、ボールの握り替えがしやすいので、捕球後の送球にすぐ移れるというメリットがあります。
スタンダードタイプの型付け
スタンダードタイプの型付けとしてのポイントは
- 親指部分を中心に型を付ける
- ポケットを深くするなら、ウェブ(紐)の部分を内側に折り込む
この2点です。
スタンダードタイプのキャッチャーミットの場合は、捕球するときに親指を上に閉じるような形になります。
そのため、親指の可動を邪魔しないようにまずは画像の黒線部分にしっかり型付けすることが大切です。
さらにポケットの深さを調節したい場合は、画像の赤丸の部分を内側に折り込むことで微調整が可能になります。
まずは親指側の折り込みから開始して、親指が稼働できるようになったらキャッチボールなどで使っていきましょう。
その時の使用感で、ウェブ部分の折り込みを調節してポケットを作れば上手くいきます。
ボックスタイプ
ボックスタイプのキャッチャーミットは、いわゆる「縦型」と呼ばれるタイプです。
キャッチャーミットを縦に使い、指のイメージはこんな感じになります。
捕球する瞬間には、親指と小指を両方とも閉じる形になるでしょう。
プロ野球選手では、中日ドラゴンズなどで長く活躍した谷繁選手などがボックスタイプのキャッチャーミットを使っていたことで有名です。
ボックスタイプの場合、ボールが収まるポケット部分を広く使えるというメリットがあります。
その分送球に移行する際の握り替えに技術が必要になるので、キャッチング重視のタイプと評されることもあるでしょう。
ボックスタイプの型付け
ボックスタイプのキャッチャーミットの型付けのポイントは
- 親指側と小指側を両方折り曲げる
- ウェブ(紐)部分はいじらない
という2点です。
画像の線部分、親指と小指で稼動する部分にあたるラインに型付けを行います。
ウェブ部分まで折り曲げてしまうと、キャッチャーミット本来の性能が損なわれる恐れがあるので、ボックス型の場合は通常折り曲げません。
そもそもボックス型のキャッチャーミットはポケットが深くなるので、捕球には十分の機能を発揮するはずです。
ボールが収まるポケット部分の形としては、長方形に近いイメージになるでしょう。
キャッチャーミットの慣らし方
キャッチャーミットは、購入直後の状態では皮が硬すぎてとても試合で使える物ではありません。
そこで、まずは練習から使用して徐々にミットを慣らしていく必要があります。
キャッチャーミットの慣らし方としては
- 毎日折って型付けをする
- ボールを入れて捕球する動作を行う
- グラブオイルを塗る
この3つが考えられます。
まずキャッチャーミットを購入したら、練習で使用する前に型付けをして捕球ポケットを作っておく必要があります。
そのためには、前の章でご紹介したようにキャッチャーミットのタイプを決め、それに沿った型付けを行いましょう。
早く型付けを行うには、やはり毎日折り続けるしかありません。
ボールを入れてバンドで固定したり、体重をかけて毎日少しずつ折り込んでいくのが効果的です。
さらに、左手にミットをはめて、自分でボールを至近距離から投げ入れる動作を繰り返すことも有効になります。
右手と左手で、自分でキャッチボールするような感覚ですね。
また、キャッチャーミットに専用のオイルを塗って、皮の伸びを良くすることで慣らす方法もあります。
オイルを塗った後にボールを入れるとボールに色が付くので、型付け専用のボールを用意できた方が良いかもしれませんね。
キャッチャーミットを柔らかくする方法
キャッチャーミットを買ったら、すぐにでも練習で使いたい気持ちになりますよね?
しかし、買ったそのままでは練習で使うこともままならないくらい硬いです。
そのため、型付けなどを通してまずは最低限の捕球が出来るレベルまでキャッチャーミットを育てなければなりません。
キャッチャーミットを柔らかくするには
- グラブオイルを塗る
- バッティングセンターなどで捕球練習をする
これらの対策が有効になります。
まず定番なのは、グラブオイルをしっかり塗るということです。
型付けの段階から、オイルを使用していきます。
しかし、グラブオイルを毎日塗りすぎると、かえってキャッチャーミットが重くなってしまう危険性があります。
オイルは週に1回くらい塗るのが適切と言えるでしょう。
その他、練習で使えなくても、バッティングセンターなどでキャッチングの練習をするという方法もあります。
これは、バッティングセンターの管理者の方に必ず確認をしてから行いましょう。
その際、ミットでボールを掴むのではなく、捕球面に当てて落とすようなイメージで行います。
もちろん、人に投げてもらってキャッチするのも良い方法です。
キャッチャーミットではじくときの対処法
キャッチャーミットの使い始めは、どうしてもボールを弾いてしまうことも増えます。
しばらく使用しているのに、どうしても捕球が上手くいかないのにはどのような理由が考えられるでしょうか?
- ポケットが浅すぎる
- キャッチャーミットのタイプが違う
- 捕球の仕方が悪い
まず考えられるのは、ミットのポケットが浅すぎるという問題です。
これは特にスタンダードタイプ(横型)のミットを使っている人に多く、ミットの捕球面に十分ボールが入り込むスペースが作られていないことが原因となります。
ウェブ(紐)の部分を内側にしっかり折り込むなどして、調節していきましょう。
また、そもそも自分が思っている指の使い方とミットのタイプが合っていないことも考えられます。
スタンダードタイプのミットの場合は、イメージとしては親指だけを閉じるような感じです。
ボックスタイプのミットの場合は、親指と小指で挟み込むようなキャッチングになります。
もう一度自分のキャッチャーミットの型付けと捕球方法を見直して、すり合わせていきましょう。
キャッチャーミットに使うオイルの選び方
キャッチャーミットの型付けやお手入れ方法として、オイルを使うやり方が定番です。
その際、メンテナンスに使うオイルをどのように選べばいいのでしょうか?
- ミットのメーカーと揃える
- ハタケヤマのオイルを使う
一番確実なのは、キャッチャーミットのメーカーとグラブオイルのメーカーを揃えるということです。
メーカーによっては、ミットに使用されている皮の材質が違うことがあります。
そのため、そのミットに合わせて作られたオイルを使用するのが確実なのです。
または、キャッチャーミットの代表的なメーカーである「ハタケヤマ」を選んでおけば間違いありません。
日本では、「キャッチャーミットと言えばハタケヤマ」というくらい有名で、名の通ったブランドです。
オイルを塗る頻度は、週に1回、ないし10日に1回くらいがベストだと考えます。
キャッチャーミットの型付けを店に頼むのもアリ
キャッチャーミットの型付けは、自分で絶対に行わなくてはならないわけではありません。
専門店に頼んで、プロに型付けをお願いすることも可能です。
ミットの使用感などを伝えて、希望通りの型付けを行ってくれます。
その際、専門店では「湯もみ」という方法でキャッチャーミットの型付けを行っていることが多いです。
湯もみは、その名の通りキャッチャーミットをお湯に付け込んで型を付けます。
素人が行うのは、少し抵抗がある方法ですよね。
自分でやるとすると、こんな感じになります。
出来ないことは無いですが、かなり勇気がいりますし、やはり湯もみはプロに頼んだ方が確実です。
メリットとしては
- キレイに型付けができる
- 短い期間で型付けが完了する
- 型付けの期間、毎日自分で手入れしなくて良い
ということが挙げられます。
やはり自宅でキャッチャーミットの型付けを行う場合は、時間がかかる上に毎日家で手入れをしなくてはなりません。
それが新しいグローブを買った時の醍醐味ではあるのですが、最初だけは専門店にお願いすると、後のメンテナンスもやりやすいと言えるでしょう。
キャッチャーミットの捕球面にシワができたら
キャッチャーミットを使っていて、多くの人が不安に思うポイントと言えば「捕球面にシワが目立ってきた」という問題です。
ただ、先に言っておくと、そもそも捕球面のシワは悪いものではありません。
上質なミットは、豚や鹿、牛など動物の皮を使って作られています。
当然ですが、個体によって材質の差がありますし、全てのミットが全くもって同じように製造されるわけではありません。
そのため、どうしても多少のシワは発生してしまうものです。
しかし、それもキャッチャーミットの「味」になりますし、捕球に支障があるわけではありません。
それでも捕球面のシワが気になるという場合は
- 湯もみで治す
- グラブ用のグリスやオイルを塗って伸ばす
- ウェブの紐の通し方を変える
これらの方法を試してみてください。
キャッチャーミットは皮で出来ているわけですから、湯もみやグリスなどを使って柔らかくして伸ばしてあげれば、シワも消える可能性があります。
ただ、皮が突っ張りすぎるとボールを弾きやすくなってしまうので、注意したいところです。
その他、グラブの紐の締め付けの強さを変えたり、ひもを通す方向を変えるだけでも皮の突っ張り方が変わります。
ウェブのやり直しは面倒ですが、一度やってみると、使用感が大きく変わるでしょう。
まとめ:キャッチャーミットの型付けは地道な作業
キャッチャーミットは、普通に使えるようになるまで時間がかかります。
ですが、しっかり型付けを行ってちゃんと手入れをしておけば、ずっと長く使えるグローブになるでしょう。
10年以上ずっと使っていけるように、練習後のメンテナンスもしっかり行い、道具を大事にする気持ちを忘れないで野球を楽しんでくださいね。